生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1996年度 採択された研究課題

カンキツによるがん予防に関する基礎的研究

研究代表者氏名及び所属

矢野 昌充(農林水産省果樹試験場)

研究実施期間

平成8年度~12年度

研究の趣旨・概要

カンキツは果実(果肉・果皮)、葉、根に多様な発がん抑制成分を含むこと、多様な遺伝資源が存在することからがん予防に関する研究には魅力的な素材である。
本課題は、β-クリプトキサンチン、アウラプテン、1,2-ジ-α-リノレノイル-3-ο-βガラクトシル-sn-グリセロール(DLGG)、リモノイドのようなカンキツに特有な発がん抑制成分の有効利用及びカンキツのがん予防食品としての評価を高めることを主な目的とする。そのため、園芸学・医学・植物化学間の学際的共同研究を組織し、カンキツ遺伝資源からの新たな発がん抑制成分の検索、各抑制成分のがんの種類別抑制効力と抑制成分間の相乗効果の検定、抑制成分の高含有品種の作出等の研究を行い、カンキツの高付加価値化、需要拡大に資する。
また、本研究では、動物細胞自身にβ-クリプトキサンチンなどの発がん抑制成分を作出させる研究及び既知成分ではトップクラスの活性を持つDLGGを例に強力な発がん抑制成分の分子構造を設計する研究のような新しい研究手法の開発を通じて、「食物によるがん予防」戦略の本質に迫る。

研究項目及び研究担当者

  • 発がん抑制成分高含有系統の作出
    (農林水産省果樹試験場 矢野 昌充)
  • カンキツ由来成分の発がん抑制効力の検定と発がん抑制機序の解明
    (京都府立医科大学 西野 輔翼)
  • カンキツ由来の発がん抑制成分の生物有機化学的解析
    (京都大学 大東 肇 )
  • 発がん抑制物質の作用機構に関する基礎的解析
    (近畿大学 小清水 弘一)

研究イメージ

カンキツによるがん予防に関する基礎的研究