研究代表者氏名及び所属
日比 忠明(東京大学大学院農学生命科学研究科)
研究実施期間
平成8年度~12年度
研究の趣旨・概要
植物の病害の約7割を占める菌類病の薬剤防除の上で、現在、薬剤耐性菌の出現が大問題となっている。研究代表者らは、最近の研究により、植物病原菌類は構造や作用機作の異なる多くの種類の薬剤に対して耐性を発現する多剤耐性遺伝子群を保有しており、その発現レベルが極度に上昇したものが多剤耐性菌であるという実験結果を得るとともに、耐性菌が生産分泌する低分子性の薬剤耐性誘発因子によって感性菌に薬剤耐性が誘発される現象を見出した。
そこで本研究では、植物病原菌類の多剤耐性について、その発現制御機構及び高発現誘導に至る一連のシグナル伝達機構を、遺伝子レベル並びに分子レベルで解析することによって、多剤耐性の分子機構を明らかにする。
これによって、耐性を克服し得る新薬剤の開発など植物病害の効率的な防除に資する基礎的知見が得られ、耐性菌対策にまったく新たな展望が開かれる契機となることが期待される。
研究項目及び研究担当者
- 植物病原菌類における多剤耐性遺伝子の発現機構の解明
(東京大学大学院農学生命科学研究科 日比 忠明) - 植物病原菌類における薬剤耐性誘発因子の作用機構の解明
(茨城大学農学部 阿久津 克己)