生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1996年度 採択された研究課題

茶機能検定系の構築と茶成分新機能の解析

研究代表者名及び所属

袴田 勝弘(農林水産省野菜・茶業試験場)

研究実施期間

平成8年度~12年度

研究の趣旨・概要

本研究は、茶の機能性に係る既知及び未知の成分を対象に、先端的研究手法を用い、薬学・生化学・細胞工学・疫学・遺伝子工学・分子生物学的手法など様々な角度からの研究により、茶機能検定系の構築と茶機能の解析を行うものである。
茶機能検定系の構築では、効率的な抗アレルギー性検定系の構築を目的に、検定に使用しうる安定したヒトアレルギー関連免疫担当細胞株の樹立、アレルゲン特異的IgE組換え抗体の作製、より生体に近い細胞培養系の開発等を行う。さらにアレルギー関与細胞の産生する各種炎症関連成分の簡易検定システムを確立し、茶を始めとする食品中の抗アレルギー物質の検索、構造活性相関の検討等を行い、アレルギー予防食品の開発に資する。
また、茶成分機能の解析においては、全緑茶成分や茶に含まれるカテキン・テアニン・水溶性高分子化合物等の成分について、それぞれ肝機能障害抑制、慢性胃炎・胃がん発症の原因として注目されているヘリコバクター・ピロリ菌の感染防止や除菌効果、脳内神経機能調整作用、抗がん・抗酸化・抗老化能の発現機構等を培養細胞や実験動物を用い解明する。
これにより、茶の健康に対する寄与を実証し、茶特殊成分の優れた機能性素材としての道を切り拓き、茶産業や食品産業の発展等に資することを目的とする。

研究項目及び研究担当者

  • ヒトアレルギー関与細胞株の樹立とその細胞機能の解析
    (農林水産省野菜・茶業試験場 山本 万里)
  • 食品アレルゲン特異的分解抗体酵素の開発とアレルゲン特異的IgEの制御因子の探索
    ( 九州大学農学研究科 立花 宏文)
  • アレルギー関与細胞による酸化的ストレス関連成分検索システムの開発と抗アレルギー作用物質の探索
    ( 静岡県立大学薬学部 佐野 満昭 )
  • 茶成分の新規機能性の探索とその作用機構に関する研究
    (静岡大学農学部 杉山 公男)
  • 緑茶及び緑茶カテキンの抗ヘリコバクター・ピロリ効果に関する検討
    ( 静岡県立大学短期大学部 小國 伊太郎)
  • 茶葉中水溶性高分子画分の発がん抑制と老化制御に関する研究
    (静岡県立大学薬学部 中村 好志)
  • 緑茶成分(テアニンなど)の脳・神経機能に関する研究
    (静岡県立大学食品栄養科学部 横越 英彦)

研究のイメージ

茶機能検定系の構築と茶成分新機能の解析