研究代表者及び所属
大川 秀郎(神戸大学農学部)
研究実施期間
平成8年度~12年度
研究の趣旨・概要
哺乳動物は高度に発達した薬物の代謝・排泄機能を持っているが、一般に、植物はその機能が著しく劣っている。そこで、ヒトを含む哺乳動物の肝臓ミクロソームに存在する薬物代謝酵素系であるチトクロームP450モノオキシゲナーゼを植物に付与・発現させて、環境に負荷を与える物質を代謝・分解する機能を高めたトランスジェニック植物を作出する。
肝臓ミクロソームには薬物代謝酵素系が存在し、その中のチトクロームP450モノオキシゲナーゼという酵素系は、一連の薬物代謝におけるカギとなる最初の酸化反応を蝕媒する。この複合酵素は、基質特異性の異なる多数のP450分子種と一分子種の還元酵素からなる。そこで、除去しようとする環境負荷物質(除草剤等)を代謝するP450の分子種を選定し、その遺伝子を単独又は還元酵素遺伝子と融合して、タバコ、バレイショ、イネなどに導入して葉緑体やミクロソームに発現した新たなトランスジェニック植物を作出するとともに、それら植物の環境負荷物質に対する代謝・分解能を評価することにより、農薬代謝機能や環境浄化機能を備えた植物の育種技術の開発に資する
研究項目及び研究担当者
- 哺乳動物の薬物代謝酵素系を利用した環境負荷物質の代謝・分解に関する研究
(神戸大学農学部 大川 秀郎) - 植物への薬物代謝遺伝子の導入と評価(農林水産省農業生物資源研究所 大川 安信)