総括研究代表者氏名及び所属
宮下 清貴 (農林水産省農業環境技術研究所)
研究実施期間
平成9年度~13年度(5年間)
研究の趣旨・概要
近年、化学物質による土壌圏、水圏での環境負荷・汚染の問題に対処して、微生物の持つ多様な汚染物質分解能を活用した環境修復技術の構築が期待されている。しかし、難分解性の化学物質である多環芳香族等の芳香族系化合物は、その複雑な構造のため、完全に分解するためには複数の分解菌を用いた多段階の反応が必要であリ、分解遅延、反応停止等の問題がある。このため、微生物の分解能の増強やこれら微生物の制御法の開発が望まれている。
本研究では、こうした難分解性の多環芳香族化合物やその分解の過程で生成される単環芳香族化合物等を対象に、微生物による分解のメカニズムを解明し、その分解能の増強を図る。特に、芳香族環の水酸化や開環等に関与する酵素、芳香族塩素化合物の脱塩素酵素等分解の鍵となる酵素を中心に、その構造、機能を生化学・分子生物学的に解析するとともに、これらの知見に基づき、タンパク質工学的手法等による酵素の改良や、ハイブリッド代謝系の構築による分解能の改良を行う。さらに、複数の分解系を組み合わせることにより、難分解性の芳香族化合物の完全分解系の構築を目指す。
研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)
- 多環芳香族化合物分解系酵素の構造と多様性の解明と機能解析
(長岡技術科学大学工学部 福田 雅夫) - 単環芳香族化合物分解系の多様性と分解機構に関する研究
(農林水産省農業環境技術研究所 宮下 清貴) - 土壌生態系における芳香族エステル化合物分解菌及びエステラーゼ遺伝子の多様性と その分解機構に関する分子生態学的研究
(静岡大学農学部 早津 雅仁)