総括研究代表者氏名及び所属
大澤 俊彦 (名古屋大学農学部)
研究実施期間
平成9年度~13年度(5年間)
研究の趣旨・概要
食品による酸化ストレス制御の実現は、「健全な食生活」や「国民の健康の維持・増進」に大きな効果をもたらすものと期待されるが、これまで酸化ストレス制御因子を含む食品の開発の指針となりうる基盤的研究は行われて来なかった。
本研究では、酸化ストレスにより誘発される疾病(がん、動脈硬化等)の予防を目的に、酸化ストレス防御機能を有する食品素材の探索を行うとともに、その機能性評価のための総合的解析システムを確立し、さらには同機能性成分を多く含む作物の創出を行う。
具体的には、従来生理作用の面ではあまり注目を集めていなかった「非栄養素」を対象として、酸化ストレス防御機能に着目した新たな食品因子の探索を行う。また、得られた酸化ストレス制御因子について、培養細胞から個体レベルにおける吸収・代謝を含めた生体内動態を解析するとともに、ヒトを対象にした酸化ストレス制御因子の介入試験の基盤的研究として、新たな酸化ストレス応答遺伝子の探索とその機能の解析を行う。さらに、このような酸化ストレス予防効果が期待される食品因子の高含有作物の作出を試みる。
本研究の成果は、食品産業サイドからも強く求められている老化に関連した疾病の予防のための「次世代の機能性食品」開発のプロトコールとなりうるものである。
研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)
- 酸化ストレス制御因子含有食用植物素材の探索と評価システムの構築
(名古屋大学農学部 大澤 俊彦) - 植物性食品中機能性色素の生体内動態の解明
(農林水産省食品総合研究所企画科 長尾 昭彦) - 植物性食品中の機能性色素の酸化ストレス制御機構の解明
(徳島大学 医学部栄養学科 寺尾 純二) - 新しい酸化ストレス応答遺伝子の探索と個体レベルにおける抗酸化剤評価系の確立
(京都大学大学院医学研究科 日合 弘) - 酸化ストレス制御成分高含有食用植物の創出
(三重大学生物資源学部 田代 亨) - 香辛植物に含まれる酸化抑制因子の解明
(大阪市立大学生活科学部 中谷 延二)