生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 採択された研究課題

酸性土壌における生産性向上を目的とした植物のアルミニウム耐性機構の解明と耐性植物の作出

研究代表者氏名及び所属

松本 英明(岡山大学資源生物科学研究所)

研究実施期間

平成10年度~14年度(5年間)

研究の趣旨・概要

世界中には植物の生育に不都合な土壌(問題土壌)が多く存在する。酸性土壌は典型的な問題土壌で、農耕地の40%を占めている。また最近、酸性雨により酸性土壌が拡大する傾向にある。酸性土壌における主要な植物生育阻害因子は低pHによって土壌中で溶出するアルミニウム(Al)イオンである。
本研究では、酸性土壌中で起こる複雑なAl毒性の機構を解明すると同時に、一部の植物が長い進化の過程で獲得した耐性機構を解明し、その機能を応用してAl耐性植物を作出しようとするものである。
具体的には、植物根、培養細胞、酵母、土壌微生物を用い、これらが生産するAlキレート化合物によるAl毒性の消去、Alと鉄の存在下で認められる酸素ストレスの軽減などの機構を解明する。それらに関わる遺伝子の導入を行ない、Al耐性植物の作出を試み、生産性の低い酸性土壌における食糧生産の向上に寄与する。

研究項目及び実施体制(( )は研究担当者)

  • インタクト植物根におけるAl耐性機構に関する生理生化学的解析
    (岡山大学資源生物科学研究所 松本 英明)
  • 植物培養細胞におけるAl耐性・毒性機構及び耐性株の分離と解析
    (岡山大学資源生物科学研究所 山本 洋子)
  • Al耐性機構に関する遺伝子工学的解析
    (岡山大学資源生物科学研究所 江崎 文一)
  • Al耐性菌の選抜と解析
    (岡山大学資源生物科学研究所 河合 富佐子)

研究のイメージ

酸性土壌における生産性向上を目的とした植物のアルミニウム耐性機構の解明と耐性植物の作出