生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 採択された研究課題

受精可能な家畜卵子の大量生産技術の開発

総括研究代表者氏名及び所属

佐藤 英明(東北大学大学院農学研究科)

研究実施期間

平成10年度~14年度(5年間)

研究の趣旨・概要

雌家畜は卵巣に10~20万個の卵子(超未成熟卵子を含む)をもつが、大多数は死滅する。現行の排卵誘発法や卵子の体外成熟技術では、卵子の死滅は予防できず、また、きわめて少数の受精可能卵子をつくることができるのみである。優良雌家畜を使って家畜の改良を図るには、卵巣にある多くの卵子を受精可能にする技術の開発が必要である。
本研究では、新しい発想にもとづき、排卵誘発法や超未成熟卵子の体外培養法を開発する。すなわち、1)卵子周辺に豊富で均一な血管網を発達させるとともに性腺刺激ホルモン受容体も均一に発現させ、ついで性腺刺激ホルモンを投与し、卵子の死滅を予防するとともに、多くの卵子を排卵させる排卵誘発法を開発する。2)家畜の超未成熟卵子の凍結保存技術を確立し、超未成熟卵子を活用した体外培養胚の作出と移植実証試験を行う。
このことにより、1)優良雌個体の増殖のみならず、優良雌個体を用いた家畜の改良が進展する。2)同一個体から多くの卵子を排卵させる本技術は正真正銘のクローン家畜の生産にも貢献する。3)本研究で同定する物質や化合物は、希少野生動物の排卵不全の治療等にも使用できる。4)同一個体から多数の卵子が得られれば、卵子の遺伝子操作が可能になり、効率的な遺伝子機能評価系を作ることができる。

研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)

  • 卵子の死滅予防法と血管増殖因子を用いる新しい排卵誘発法の開発
    (東北大学大学院農学研究科 佐藤 英明)
  • 超未成熟卵子の凍結保存法と体外培養胚の作出
    ((株)機能性ペプチド研究所 星 宏良)

研究のイメージ

受精可能な家畜卵子の大量生産技術の開発