生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1999年度 採択された研究課題

進化工学手法によるシロアリセルラーゼの改変と高効率セルロース糖化系の開発

研究代表者氏名及び所属

渡辺 裕文(農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所)

研究実施期間

平成11年度~15年度

研究の趣旨・概要

地球環境問題の深刻化にともない、地上最大の未利用バイオマスであり、再生可能資源であるセルロースの糖化利用が近年注目されている。
本研究は、このセルロースを効率的に利用し繁栄しているシロアリ類に代表される食材性昆虫のセルロース消化機能の応用的利用を可能にすることを目標とし、1)シロアリ類を中心に食材性昆虫から新規セルラーゼ遺伝子(cDNA)を広範囲に収集し、各々の特性を解明する。2)優れた特徴を持つ新規セルラーゼ遺伝子間でのPCR手法によるドメインのランダムな交換(掛け合わせ)や、それらセルラーゼ遺伝子に対する部位特異的またはランダム位置への突然変異の導入等により変異遺伝子集団を作る。この遺伝子集団を大腸菌や酵母に組み込み、培地組成、pH、温度条件等における望まれる特性を反映した人為的な選択圧を加えることにより、優れた特性をもつセルラーゼ遺伝子を選抜する。3)選抜されたセルラーゼを使い古紙やリサイクル素材を含めた各種セルロース系基質の実験室レベルでの糖化実験をおこない、改変セルラーゼの特性を解明する。

これら一連の研究により、古紙・間伐材などリサイクル/未利用セルロース素材を原料とする化学合成技術や燃料電池用アルコール生産につながる新規セルロース糖化系構築素材としての改変セルラーゼと構築のための基礎的情報が得られると期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 新規昆虫起源セルラーゼ遺伝子の探索と分子系統関係の解明
    (農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所 渡辺 裕文)
  • 昆虫起源セルラーゼの改変と新規セルロース糖化系の構築
    (農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所 渡辺 裕文)

研究のイメージ

進化工学手法によるシロアリセルラーゼの改変と高効率セルロース糖化系の開発