生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1999年度 採択された研究課題

抗病性産業動物の作出に関する分子遺伝学的研究

総括研究代表者氏名及び所属

三橋 忠由(農林水産省畜産試験場)

研究実施期間

平成11年度~15年度(5年間)

研究の趣旨・概要

養殖魚、養鶏、鶏卵産業では数万匹あるいは数万羽が集約的に大量飼養され、このような生産現場での疾病発生は短時間で全体に広がり、集団を死にいたらしめる場合もあるなど大きな経済的被害をもたらす。このため、ワクチンや抗生物質が利用され、その接種や投薬に費用と手間がかけられているが、野生種の中には、生産性は低いが病気には強いという遺伝的抗病性を持つ個体が見いだされている。

現在の分子遺伝学研究の成果を用いれば、このような抗病性遺伝子の染色体上の位置や遺伝子本体のDNA配列を明らかにすることが可能である。また、抗病性に関係している遺伝子群の一部(主要組織適合複合体:MHC)がヒトやマウスの研究から既に明らかになっており、魚類や鶏においてこれら遺伝子群の構造をDNAレベルで解析することは抗病性遺伝子の生産現場への利用を可能にする。

これらのことから、本研究では抗病性遺伝子を受け継ぎ病気に強くかつ生産性も高い魚や鶏を作出することを目的として、魚類、鶏の特殊系統・野生型がもつ抗病性関与遺伝子の比較解析を行うとともに、抗病性に関与する未知遺伝子を解明する。究極的には大量飼養産業動物に対する薬物使用の減少に有効な分子遺伝学的情報を提供する。

研究項目及び実施体制(()は研究代表者)

  • ニジマスMHC遺伝子の多様性および機能の解析
    (農林水産省養殖研究所 乙竹 充)
  • 新規MHC関連遺伝子群の構造並びに機能の解明
    (藤田保健衛生大学総合医科学研究所 橋本敬一郎)
  • ニワトリMHC領域におけるマレック病関連遺伝子の探索とその遺伝探索マーカーの開発
    (広島大学生物生産学部 山本義雄)
  • ニワトリにおける抗病性遺伝子座の解析
    (農林水産省畜産試験場 三橋忠由)

研究のイメージ

抗病性産業動物の作出に関する分子遺伝学的研究