生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1999年度 採択された研究課題

DNAメチル化情報の解析による動物ゲノムの高度利用

研究代表者氏名および所属

塩田 邦郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)

研究実施期間

平成11年度~15年度(5年間)

研究の趣旨・概要

哺乳類を含む脊椎動物では、ゲノムDNAを構成する4種類の塩基のなかで、シトシンのみがメチル化されることが知られている。近年、ゲノムDNAのメチル化の程度は各体細胞により異なり、しかも、ゲノムの転写調節領域のメチル化は遺伝子のサイレンス機構と関連していることが明らかになってきた。

本研究では、ゲノムDNAの様々な遺伝子座が、細胞の種類により特異的にメチル化されていることを証明する。特に、発生に伴う分化全能性の消失と各体細胞への分化の機構など、正常発生のメチル化プログラム情報の解読を行なうことと、体細胞核移植や生殖細胞間の受精に伴う、分化全能性の再獲得機構の解明は重要である。そのため、各種細胞(初期胚、胚性幹細胞、栄養膜幹細胞、生殖細胞、クローン動物胚など)のゲノム全域にわたるDNAメチル化解析を行う。さらに、メチル化制御による初期化誘導系の確立を目的としたDNAメチル転移酵素の機能調節機構の解析も行なう。

本研究により、細胞・組織に特異的なゲノムDNAのメチル化パターンの形成が、細胞固有の遺伝子発現の基礎になっており、正常個体の発生に必要であることを証明し、クローン動物生産に代表される細胞核ゲノム利用の飛躍的効率化などを含む、新たな動物生産システムの開発の基盤を確立する。

研究項目および研究体制(()は研究担当者)

  • ゲノムDNAのメチル化状況の解析
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 塩田邦郎)
  • DNAメチル化の制御機構について生化学的に研究
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 塩田邦郎)
  • ゲノムメチル化制御系解析のため各種の幹細胞株の樹立
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 田中 智)
  • 体細胞の核を初期胚型に戻すための細胞生化学的研究
    (東京大学大学院農学生命科学研究科 塩田邦郎)

研究のイメージ

DNAメチル化情報の解析による動物ゲノムの高度利用