総括研究代表者氏名及び所属
田村 俊樹(農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所)
研究実施期間
平成12年度~平成16年度(5年間)
研究の趣旨・概要
昆虫バイオテクノロジー産業を創出するための基盤技術として、カイコの遺伝子機能の解析システムを構築することを目的として、次の研究を行う。1)カイコの形質転換体の作出効率を高めるため、外来遺伝子の導入方法の改良と新しいベクターの開発を行う。また、形質転換体とトランスポゾンを利用した遺伝子機能の解析系を確立する。2)カイコのcDNAの大量シークエンシングにより全発現遺伝子のデータベースを構築し、得られた塩基配列に基づきDNAチップを作製する。また、解析されたデータを利用して各組織で発現している遺伝子のデータファイル(発現プロフィール)を作出する。
3)形質転換カイコとDNAチップを利用して昆虫特異的な現象に関連した遺伝子の機能解析を行い、特殊な機能を持つカイコの作出と実用性を検証する。
本研究により、カイコの遺伝子機能解析システムが確立するとともに、医薬品等の有用物質、テンサンやクモ等のフィブロイン(絹繊維タンパク質)を作るカイコの作出が可能となる。また、開発された技術とデータを他の昆虫に応用することにより、環境調和型の農薬や害虫の遺伝的防除技術を作出することができる。
研究項目及び実施体制(( )は研究代表者)
- 形質転換カイコの作出効率の向上と利用技術の開発
(農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所 田村俊樹) - カイコ全発現遺伝子のDNAチップ作製とその利用の技術開発
(科学技術庁放射線医学総合研究所 三田和英) - 形質転換系、既知突然変異およびDNAチップを用いた家蚕遺伝子の機能解析
(東京大学大学院農学生命科学研究科 小林正彦)