生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2001年度 採択された研究課題

植物ホルモンアブシジン酸の制御機構の解明とバイオテクノロジーへの応用

総括研究代表者氏名及び所属


篠崎 一雄
篠崎 一雄(理化学研究所)

研究実施期間

平成13年度~平成17年度(5年間)

研究の要旨・概要

植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は乾燥、低温ストレス応答や耐性の獲得、種子の成熟、休眠、発芽などの重要な生理機能に関わっているが、その合成・分解、シグナルの受容・伝達、遺伝子発現の分子レベルでの制御機構に関しては重要な制御因子が未同定であり、不明な点が多い。
本研究では、ABAの細胞内の制御に関して、(1)合成・分解の制御、(2)シグナルの受容、(3)シグナル伝達、(4)遺伝子発現制御の各段階で働くキーとなる制御因子を同定し、ABAによる制御機構の全体像を遺伝子ネットワークの面から解明することをめざしている。研究材料としてはゲノム解析が進んでいるシロイヌナズナやイネを用いる。これらのゲノム情報やマイクロアレイ等の解析技術を有効に利用することがABA関連の制御遺伝子群を網羅的に探索する上で重要なポイントとなる。これらの制御因子の機能解析には遺伝学的方法と、ゲノム情報を駆使したゲノム科学的方法を用いる。
本研究で明らかにされたABAの制御系の遺伝子を用いて遺伝子操作を行うことにより環境ストレス耐性植物の分子育種に利用できる。さらに、種子の成熟、発芽などの制御に利用し、良質な種子の開発に寄与する。この技術は植物本来の遺伝子を遺伝子組み換えに用いるため安全性も高く、消費者にも受け入れやすいと考えられる。

研究項目及び実施体制(( )内は研究代表者)

1 植物ホルモンアブシジン酸の合成・分解の制御およびシグナル受容機構の解明とバイオテクノロジーへの応用
(理化学研究所 篠崎 一雄)
2 植物ホルモンアブシジン酸による遺伝子発現制御及びシグナル伝達機構の解明とバイオテクノロジーへの応用
(独立行政法人 国際農林水産業研究センター 篠崎 和子)

研究のイメージ

植物ホルモンアブシジン酸の制御機構の解明とバイオテクノロジーへの応用