生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2002年度 採択された研究課題

動物ウイルスによる宿主細胞制圧機構の解明

研究代表者氏名及び所属

甲斐 知恵子
甲斐 知恵子(東京大学医科学研究所)

研究実施期間

平成14年度~18年度(5年間)

研究の趣旨・概要

ウイルスは宿主細胞内で細胞の代謝系を利用して増殖する。多くのウイルスではその過程で様々な細胞障害作用を起こし、それが多様な病態となって現れる。しかしウイルスがどのように細胞を制圧して病原性発現に至るかという全貌を明らかにした研究はこれまでにない。
本研究は、ウイルスと宿主細胞因子群のせめぎあいのダイナミズムを体系的に解明することを目的としている。特に病原性の高いウイルスを多く含むモノネガウイルス群を対象として、我々が既に確立した遺伝子から感染性ウイルス粒子を得る方法や多くの病原性解析系の上に、独自に開発した合成DNAマイクロアレイ技術や他の最新技術を導入することによって、ウイルス感染による細胞障害作用に関わる宿主因子群動態の全貌および病原性発現に至る機構を解明するものである。
この成果は、ウイルス学に宿主因子群を対象とした新たな研究分野を開くもので意義は大きい。また、ウイルス病に対する治療・予防法開発に、これまでのウイルス側のみでなく宿主因子群も標的とした新たな研究手法を与え、重要な家畜のウイルス性疾患に直接貢献するだけでなく、医学、薬学などへの波及効果は大きいと期待される。

研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)

  • 病原性に関与する宿主細胞因子群の機能解析と病原性発現機構の包括的解析
    (東京大学医科学研究所 甲斐 知恵子)
  • 宿主細胞因子群のマイクロアレイ解析
    (東京大学医科学研究所 甲斐 知恵子)
  • 宿主細胞因子群のプロテオーム解析
    (東京大学医科学研究所 甲斐 知恵子)

研究のイメージ

動物ウイルスによる宿主細胞制圧機構の解明