研究代表者氏名及び所属
佐藤 忍(筑波大学生物科学系)
研究実施期間
平成15年度~19年度(5年間)
研究の趣旨・概要
本研究は、植物の成長や発生現象およびバイオマスとしての細胞壁の特性に深く関わる細胞壁マトリックス糖鎖(セルロース以外の細胞壁糖鎖)に関して、その機能と生合成機構を解明し、それらの形質をバイオテクノロジーにより制御するための基盤を形成することを目的とする。
近年、イネ等において全ゲノム塩基配列が解読されたものの、細胞壁マトリックス糖鎖の機能と生合成にかかわる遺伝子の解析はほとんど進んでいない。そこで本研究では、細胞壁糖鎖を特異的に分解する酵素を構成発現させたシロイヌナズナ及びポプラ形質転換体や、マトリックス糖鎖の生合成酵素を欠損した半数体タバコ変異体の解析を通して、細胞壁マトリックス糖鎖が植物個体の成長や発生現象に果たす役割の解明を進める。
本研究の成果は、広く農林業における分子育種の設計、特に成長特性の改変や材木・パルプの品質向上を通して、開発の遅れていた有用林木品種の作出に応用が期待される。また、着果性等の向上に加え、受粉過程の制御が可能となれば、遺伝子組換え作物等の遺伝子拡散の防止にも新たな道を開くことが期待される。
研究項目及び実施体制(( )内は研究担当者)
- 植物細胞の成長制御機構の解明
(京都大学木質科学研究所 林 隆久・馬場 啓一) - 植物の細胞接着機構の解明
(筑波大学生物科学系 佐藤 忍) - 細胞壁マトリックス糖鎖の構造と生合成機構の解明
(森林総合研究所 石井 忠)