生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2004年度 採択された研究課題

セスバニア-Azorhizobium caulinodans系を用いた根粒成熟の分子メカニズムの解明

研究代表者氏名及び所属

小柳津 広志
小柳津 広志
(東京大学生物生産工学研究センター)

研究実施期間

平成16年度~20年度(5年間)

研究の要旨・概要

マメ科植物は、バラ科を祖先とした進化の過程で細菌(窒素固定菌)との共生による根粒形成能を獲得した。しかし、マメ科以外の農作物の栽培には窒素を含んだ肥料の大量施用は不可欠である。今後、世界人口の急速な増加により、窒素肥料の需要は数倍に高まるものと予測されるが、製造に伴うエネルギーの大量消費や土壌中の残留窒素の増大は地球環境の保全上も大きな問題である。
そこで、本研究では、マメ科植物以外の作物に窒素固定能を付与することを最終目的として、マメ科植物が進化の過程で獲得してきた根粒形成に関わる遺伝子とその機能を解明する。
根粒形成に関する研究は世界中で活発に進められ、根粒菌の感染を中心とした根粒形成の初期過程については解明が進展したが、根粒菌の植物内での安定維持や植物細胞内への進入等中・後期の過程のメカニズムはほとんど解明が進んでいない。その背景として、根粒は通常、根に形成され、その成熟に時間を要することが挙げられる。
本研究では、根粒を茎にも形成し、かつ、その成熟が5日程度と著しく早いセスバニアを材料とすることで、根粒形成の中期から後期成熟過程に焦点を絞ってその分子メカニズムを解明し、最終的に根粒生成メカニズムの全貌に迫る。また、その解明を基に、非マメ科植物へ窒素固定能を付与する実用研究への展開を目指す。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 根粒成熟に関連した細胞間のシグナル伝達に関与する根粒菌遺伝子の根粒成熟に果たす役割の解明
    (国立大学法人東京大学生物生産工学研究センター 小柳津広志)
  • 根粒菌が生産する根粒成熟シグナル分子の分離と構造解明
    (国立大学法人東京大学生物生産工学研究センター 小柳津広志)
  • 植物側の根粒成熟を誘導するシグナル伝達経路の解明
    (国立大学法人東京大学生物生産工学研究センター 青野俊裕)

研究のイメージ

セスバニア-Azorhizobium caulinodans系を用いた根粒成熟の分子メカニズムの解明