研究代表者氏名及び所属
篠田 徹郎
(独立行政法人農業生物資源研究所)
研究実施期間
平成17年度~21年度(5年間)
研究の趣旨・概要
幼若ホルモン(JH)は昆虫固有のホルモンで、変態・休眠・相変異など様々な昆虫独特の生命現象の調節に関わっており、昆虫はその進化の過程で、
JHの代謝および作用発現に必要な一連の特異分子(JHネットワーク分子)を発達させている。これらの分子は昆虫特異的に作用する昆虫制御剤(IGR)開
発の優れた標的としても注目されるが、その分子的実体は未だに不明なものが多い。
本研究課題では、最近我が国で開発されたカイコのゲノム情報・マ
イクロアレイ・トランスジェニック技術を駆使し、JHネットワーク分子をコードする遺伝子(JHネットワーク遺伝子)を網羅的に同定しその機能解明を行
う。特に、未同定の後期JH合成酵素や、未だに「謎」であるJH受容体を含むJHシグナル伝達分子の遺伝子同定をめざす。これによりJH濃度調節および
JH作用発現の分子機構を明らかにしようとする。本研究により、JHネットワークの分子的実体が明らかになり、それらを特異的に遮断・撹乱する新しいタイ
プの安全な農薬開発への路が拓け、環境保全型農業の推進に大きく貢献するものと期待される。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- カイコゲノム情報に基づくJHネットワーク遺伝子の解明
(独立行政法人農業生物資源研究所 篠田 徹郎) - 組織培養系によるJHネットワーク遺伝子解析
(国立大学法人弘前大学農学生命科学部 比留間 潔)