研究代表者氏名及び所属
山内 啓太郎
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科)
研究実施期間
平成17年度~19年度(3年間)
研究の趣旨・概要
骨格筋内には筋衛星細胞と呼ばれる一群の細胞集団が存在する。筋衛星細胞は通常未分化な状態にあるが、骨格筋に損傷が生じた場合の再生や成長期に見
られる骨格筋の肥大に際して、筋細胞へと分化することから、骨格筋における組織特異的幹細胞の一種と位置づけられてきた。最近になって筋衛星細胞は細胞周
囲の環境により脂肪細胞や骨細胞へも分化できる能力を有する一種の間葉系幹細胞であることが明らかになりつつある。しかし、筋衛星細胞が多様な細胞種へそ
れぞれ分化することを運命づける生体内因子の本態は未だ不明である。
本研究は、筋衛星細胞が生体内で筋細胞や脂肪細胞へと分化決定される場合は、
インスリン様成長因子(IGF:インスリンに類似した機能を持つ増殖因子)の作用が極めて重要であると考えられることから、その分化決定機構を、IGFシ
グナルとそれを修飾する因子に着目して解明することを目指すものである。
研究により得られる成果は、多分化能を有する幹細胞の分化方向付けを決定する機構を解明するという大きな科学的意義を持つとともに、同定された因子の発現や産生の人為的制御により肉用家畜の経済形質(筋・脂肪比率)を改変するという新たな技術開発へと繋がるものである。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 筋衛星細胞の運命決定に関与する細胞外因子の探索
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 山内啓太郎) - 筋衛星細胞の運命決定に関与する細胞内因子の探索
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 伯野史彦) - 機能解析による筋衛星細胞運命決定機構の決定
(国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 山内啓太郎)