研究代表者氏名及び所属
宮沢 豊
(国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科)
研究実施期間
平成17年度~19年度(3年間)
研究の趣旨・概要
植物は生重量の80-90%を占める水を炭酸固定をはじめとした自身の生命活動に利用しており、養水分の主要な吸収器官である根は、一方で植物体の支持にも不可欠な機能を果たしている。
こ
のような植物の生存に関わる器官である根には、相対的に水分含量の多い空間へと伸長する性質がある。この根の持つ「水分屈性」は、現在の地球生態系の基盤
をなす植物が水中から陸上へと進出して以来、陸上の限定された水分を有効に利用するための本質的な能力として、約5億年の間に進化させてきた水獲得システ
ムであると考えられ、その仮説は100年以上も前から予測されてきたものの、近年に至るまで科学的に証明されなかった現象である。
本研究課題は、
この水分屈性の発現機構をモデル植物(シロイヌナズナ)を用いた分子遺伝学的な解析により解明し、また、多種の有用植物を用いて個々の生育する水環境とそ
れらの遺伝学的背景の関係について解析を行うことにより、ダーウィンが提唱した謎に対して"遺伝子による回答"を得るとともに、植物が本来的に有する"水
を求めて根の伸長方向を決定する能力"という新しい視点に立って、植物生長環境制御法の開発やストレス耐性品種の作出に資するものである。
また、その成果は、年々厳しさを増す地球上の水環境の有効利用を可能にし、耕作地の拡大、さらには地球外をも視野に入れた人工的環境下での効率的な植物栽培法の開発にもつながるものと期待される。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- シロイヌナズナを用いた水分屈性突然変異体の単離と原因遺伝子の同定
(国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科 宮沢 豊) - エンドウ、キュウリをはじめとした多種の植物の水分屈性現象の抽出と解析
(国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科 宮沢 豊)