生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2007年度 採択された研究課題

植物病原細菌の病原性糖タンパク質糖鎖の構造解析と病害防除への利用

研究代表者氏名及び所属

一瀬 勇規
一瀬 勇規
(国立大学法人岡山大学資源科学研究科)

研究実施期間

平成19年度~23年度(5年間)

研究の趣旨・概要

作物減収の主要因の一つである病害を防除するためには、作物の有する耐病性を高めることと同時に、病原菌の病原性戦略の理解により、それを制御する技術を確立することが必要である。
植物病原細菌のべん毛繊維を構成するタンパク質フラジェリンは糖タンパク質であり、糖鎖はべん毛運動能・病原性に必要である。また、フラジェリンは植物に抵抗性を誘導する機能を有し、その活性は糖鎖により制御されている。これらの知見を基に、本研究では、フラジェリン糖鎖の構造を解明し、病原性や抵抗性誘導能との関係の解析を行う。また、糖鎖の生合成経路の解明により、病原性発現に必要なタンパク質・遺伝子を同定するとともに、高い防御応答誘導能を有する分子構造を明らかにする。
本研究の進展により、殺菌剤ではなく、病原性を抑制する静菌剤の開発や、抵抗性誘導剤の開発に貢献することが期待される。これらの薬剤は持続的に有効で、環境にも優しいと考えられる。さらに、フラジェリン糖鎖は動物病原細菌の病原性にも必要であることから、家畜やペット、水産業における細菌病の制御や、ヒトの医薬開発への波及効果も期待される。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 植物病原細菌の糖鎖変異株の作出と機能の解明
    (国立大学法人岡山大学自然科学研究科 一瀬 勇規)
  • 植物病原細菌の病原性糖鎖構造の解明
    (独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 吉田 充)

研究のイメージ

植物病原細菌の病原性糖タンパク質糖鎖の構造解析と病害防除への利用