プレスリリース
(お知らせ)イチジクを病害から救う農家待望の台木が誕生

情報公開日:2022年2月28日 (月曜日)

ポイント

  • 全国のイチジク産地が困っているイチジク株枯病に強い台木新品種「励広台(れいこうだい)1号」が誕生しました。
  • この台木に接ぎ木したイチジクは株枯病にかからず、収量や品質は自根苗(台木を用いない苗)の場合と同等との試験結果が得られました。
  • 今年秋から「励広台1号」を用いたイチジクの接ぎ木苗が全国で発売されます。

概要

生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新産業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する取組を実施しています。

今回、紹介するのは、イチジクで最も深刻な病害といわれる「イチジク株枯病」に強い台木新品種「励広台1号」です。広島県立総合技術研究所農業技術センターと農研機構果樹茶業研究部門などが5年以上の歳月をかけて開発しました。

株枯病はカビの一種の株枯病菌が引き起こします。この病気に感染したイチジクは、葉が萎れて変色し、樹全体が枯死します。土壌中に株枯病菌が残るため、植え替えても、また感染してしまいます。土壌へ農薬を注入する方法もありますが、年に6回もの注入が必要で、費用、労力の面で農家への負担が大きいのが悩みです。

そこで、イチジクの近縁野生種であるイヌビワが株枯病に強いことに着目し、イヌビワとイチジクの種間交雑体を利用して、新たな台木品種「励広台1号」を作り出しました。国内栽培の約7割を占める「桝井ドーフィン」など主要品種を穂木として「励広台1号」に接ぎ木して栽培したところ、株枯病にかからず、収量、品質は自根苗の場合と同等という優れた特性を示すことが明らかになりました。今年秋から、「励広台1号」に穂木を接ぎ木した苗が全国で発売されます。

詳しい内容は以下のURL又は別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/151111.html

これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全33話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html