プレスリリース
(お知らせ)天敵を活用して果樹を害虫から守る<w天>防除体系

情報公開日:2022年5月31日 (火曜日)

ポイント

  • 果樹の大敵であるハダニ類を防除する方法として、土着の天敵と製剤化された天敵の2種類を活用する<w天(ダブてん)>といわれる防除技術が普及し始めました。
  • <w天>防除体系は、化学農薬への依存を大きく減らしたハダニ防除を実現し、土着天敵など農業に有用な昆虫類との親和性が高く環境保全の面でも優れています。

概要

生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新産業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する取組を実施しています。

今回、紹介するのは、2種類の天敵を活用して果樹の害虫被害を食い止める技術です。

リンゴやミカンなどの果樹で防除が非常に難しい害虫の一つがハダニ類です。一般的には化学農薬を散布して防除しますが、ハダニは薬剤抵抗性を発達させやすく、化学農薬が使えなくなる事態が次々に起こっています。また、薬剤散布は重労働で生産者の負担が大きいことから、この負担を軽減する新しい防除技術が求められていました。

その解決策として登場したのが<w天>防除体系です。<w天>はダブル天敵の略称です。もともと果樹園の下草などに生息している土着の天敵とこれを補うために放たれる製剤化された天敵の2種類で、ハダニ類を捕食し減らす方法です。土着の天敵の生息環境を守るために住み家やエサとなる下草を適正に管理し、病害虫防除のときも天敵に影響の少ない化学農薬を選択し、これら天敵への悪影響を減らします。千葉県のナシ園や佐賀県のハウスミカン園など各地の実証試験によって、薬剤散布を減らしても、ハダニ類を適正密度に抑えられることが分かりました。すでに天敵を活用するハダニ防除マニュアルも整備され、今後のさらなる普及が期待されています。

詳しい内容は以下のURL又は別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/152523.html

これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全36話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html