ポイント
- AR(拡張現実)技術により、スマホやスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)に農作業に必要な情報を表示させるアプリ「Agri-AR」が開発され、昨年4月から提供が始まりました。現在までに200以上の契約があり、農作業の効率化に役立っています。
- Agri-ARは、平行直線ガイド、ARサイズ計測など12種の機能が利用可能で、農業現場の人手不足解消、収益力向上への貢献、さらに農業以外の作業での活用も期待できます。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、これまでの研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。
今回は、株式会社Rootが開発した、安価で誰でもどこでも使える農作業補助アプリケーション「Agri-AR」を紹介します。Agri-ARは、AR(拡張現実)を活用し、スマートフォン(以下、スマホ)やスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)の画面上に、圃場の畝立てガイド線を表示するなど、農作業を大幅に効率化する様々な機能を持っています。
例えば、畑に畝立てをするとき、事前に平行な直線を引く作業が必要であり、従来は2人で紐(ひも)を張って線引きをしていましたが、Agri-ARの「平行直線ガイド」を使えば、スマホやスマートグラスのAR画面上に指定通りの直線を表示できるので、2人で行っていた作業を1人で一瞬に行えます。また「ARサイズ計測」を使えば、作物の大きさを測るとき物差しを使わず、AR画面上で作物を挟むように2本の指をかざすだけで計測できます。
Agri-ARは、2024年4月から一般への提供を開始しており、平行直線ガイド、サイズ計測をはじめ12種の機能が利用可能で、これら全機能を使う場合は2カ月9,900円(税込み)から利用できます。現在までに200以上の契約があり、農業現場での活用による農家の人手不足解消、コスト削減、収益力向上への貢献に加え、林業や水産業、物流など幅広い分野での活用が期待できます。
なお、株式会社RootはAgri-ARの機能拡大等を予定しており、その計画について、2024年10月に施行されたスマート農業技術活用促進法に基づく開発供給実施計画の認定第1弾として、同年12月に農林水産大臣の認定を受けました。
詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/167429.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全61話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html