ポイント
- 田植えをしないで水田に種籾(たねもみ)を直接播(ま)く湛水直播(たんすいちょくは)栽培の手法を紹介します。乾いた水田に種籾を播く乾田直播が注目されていますが、湛水直播は春に田が乾きにくく乾田直播に向かない地域で有効な栽培方法です。
- コメ生産の省力・低コスト化を図ることができ、今後の需要増加が見込まれる外食産業や加工用途向け業務用米の高収量・安定生産への貢献を期待できます。
- 農研機構を代表機関とする研究グループは、無コーティングの根出し種子による栽培技術と高能率な大型播種機を開発し、湛水直播栽培の普及を進めています。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、これまでの研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。
コメ生産者の高齢化や減少の一方、農地集積と大規模化が進んでいます。田植えをする移植栽培では育苗ハウスを必要とするほか、育苗や移植作業にも多くの労力を割いています。また大規模経営では春の育苗や移植作業と秋の収穫作業が短期間に集中し、移植栽培だけでは適期に作業をこなしきれなくなっています。そのため、作業時期が移植栽培と異なる直播栽培が注目されています。田植えをしないで水田に種籾を直接播く湛水直播栽培は、コメ生産の省力・低コスト化を図ることができ、今後の需要増加が見込まれる外食産業や加工用途向け業務用米の高収量・安定生産への貢献を期待できます。
農研機構東北農業研究センターを代表機関とする研究グループは、直播栽培で一般的な種子コーティングを省略した無コーティング直播と業務用米品種を組み合わせ、業務用米の低コスト・安定生産を実現しました。今回の成果事例こぼれ話では、①無コーティングの根出し種子による栽培技術の確立、②無コーティング種子代かき同時播種機の普及、③作業幅3.4 m以下の折りたたみ式代かきハローに対応した大型播種機の開発により、無コーティング種子湛水直播の技術を確立した取り組みを紹介します。
詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/173236.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全68話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html
