ポイント
- 人工知能(AI)を用いることで、新品種開発を短期間で実現する品種改良加速技術(ゲノム編集技術)の活用範囲を広げました。
- 生物の特定の性質を担う遺伝子の発現量・発現強度を決めるプロモーター(発現制御領域)と呼ばれる部分のDNA配列を変化させることで、望ましい特性を備えた新品種を作出する技術を開発。トマトなど10作物、30品種以上のゲノム編集に成功しています。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。
今回紹介するのは、名古屋大学発のスタートアップ企業グランドグリーン株式会社が、人工知能(AI)を使った品種改良加速技術(ゲノム編集技術)で野菜など様々な作物の新品種開発を進めている事例です。
これまでの品種改良では、例えば、味は良いが高温に弱い、味はいま一つだが高温に強いといった別の特性を持った品種を交配(交雑)して育て、さらに数世代にわたって交配・選抜を繰り返して新品種を作り出してきました。この方法では新品種を作るのに長期間(通常5~10年)かかります。グランドグリーン社は、望ましい特性を持つのに必要なゲノム配列の変化を、ゲノム編集技術にAI予測を組み合わせることにより短期間(1~3年)で実現することを目指しました。
従来のゲノム編集技術は、目的とする遺伝子のDNA配列の一部を傷つけて特定の機能を失わせ、特性の変化を促すものが主流でした。それに対して、同社は、生物の特定の性質を担う遺伝子の発現量・発現強度を決めているプロモーター(発現制御領域)と呼ばれる部分のDNA配列を変化させることで、望ましい特性を備えた新品種を作出する技術を開発しました。同社は、植物におけるゲノム編集を、①「Promoter AITM」、②「gene APPTM」、③「3GETM」といった技術を組み合わせ、「設計→導入→編集」まで一気通貫で実現します。現在までにトマトやイネなど10作物、30品種以上の実用作物品種のゲノム編集に成功しています。
新しいゲノム編集技術は、気候変動など地球環境の変化にも対応した未来の品種づくりにも結び付くものです。優れた新品種が短期間で作出できれば、生産しやすく、おいしい作物を安定的に提供することにつながると期待されています。
詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode_list/176847.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全73話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html
