ポイント
- 木質パルプの製造工程で発生する廃液(黒液)から生分解性・高機能プラスチックの原料となるPDC(2-ピロン-4,6-ジカルボン酸)を高効率に生産する技術を確立しました。
- 黒液中には、リグニンの分解物が大量に含まれており、ここに、細菌SYK-6株の改変株を加えると、代謝によってPDCが生産されます。
- PDCは、生分解性などの機能を持つバイオマスプラスチックの原料として期待されている化合物です。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。
今回紹介するのは、木材などのバイオマス(生物資源)からプラスチックの原料を生産する技術を開発し、石油に依存しないプラスチック製造の道を開こうという研究です。
長岡技術科学大学、森林総合研究所、東京科学大学などの研究グループは、未利用または低質な木質資源を用いて紙の原料となる木質パルプを製造する工程で発生する廃液(黒液)から生分解性・高機能プラスチックの原料となるPDC(2-ピロン-4,6-ジカルボン酸)を高効率に生産する細菌による変換技術を確立しました。黒液中には、木材の主要な成分であるリグニンの分解物が大量に含まれており、ここにリグニン由来芳香族化合物分解細菌SYK-6株の改変株を加えると、細菌の代謝によってこれらの分解物からPDCが生産されます。
SYK-6株は約40年前に製紙工場の廃水処理施設から発見された細菌で、リグニン由来の芳香族化合物を効率よく分解できることが知られています。本研究では、このSYK-6株の代謝経路を遺伝子工学的に改良し、リグニン由来芳香族化合物からPDCを効率よく生産できるSYK-6改変株を作製しました。PDCは、生分解性などの機能を持つバイオマスプラスチックの原料として期待されている化合物です。
世界的に脱石油の機運が高まる中、本研究では実際の木質資源の処理物である黒液から、生分解性プラスチック原料を細菌を利用して生産する基盤技術を確立しました。
詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/177535.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全75話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html
