機能性乳製品の開発のため、チーズなどに利用されるラクトコッカス属乳酸菌の中から、コレステロール除去能、免疫賦活能およびアレルギー発症に関与するIgE抗体の産生抑制作用を有する株を見出した。さらに、老化促進モデルマウスに対して骨密度低下を抑制するなどの老化抑制作用を有する有用菌株を見出し、共同研究によりその実用化を進めている。
背景
消費者の健康志向の高まりや生活習慣病、アレルギー疾患の増加に対応した機能性食品が期待されている。腸内環境を改善し宿主の健康に良い効果を与えるプロバイオティック乳酸菌については腸内細菌を中心に研究されてきたが、乳製品に利用されるラクトコッカス属乳酸菌がもつ機能性については未解明であった。
目的
ラクトコッカス属乳酸菌の生産物あるいは菌体の機能性を解明し、それらを利用した機能性乳製品を開発する。
成果
- 乳酸菌株N7株、527株、G50株は、消化管まで生きたまま到達することを見出した。
- 527株は、ヒト腸上皮細胞由来培養細胞に付着できることを見出した。
- 527株およびN7株に、培地中およびラット生体におけるコレステロール除去能を見出した。
- 免疫賦活能およびアレルギー発症に関与するIgE抗体の産生を抑制する作用を有するG50株を見出した。
- 乳由来のH61株に、老化促進モデルマウスの老化に伴う骨密度低下、皮膚の潰瘍発生を防止する等の抑制作用を見出した。
研究の今後
乳酸菌の機能性を科学的に解明、実証するとともに、機能性乳酸菌を利用した乳製品を開発する。