畜産研究部門

高品質畜産物の低コスト生産に向けた食品残さ飼料化技術の開発

食品残さの飼料化を進めるとともに、畜産物の安全性の確保と高付加価値化を実現するために、食品残さ飼料(エコフィード)の評価・調製・給与にわたる新たな利用システムを開発した。

背景

飼料自給率向上、特に濃厚飼料自給率の向上と、食品リサイクル法への対応が求められている食品産業に由来する環境負荷物質の低減を図るため、食品残さの飼料化が期待されている。食品残さの飼料化は畜産農家にとっても飼料コストの削減にもつながることから、飼料および畜産物の安全性確保を前提として、その利用技術の早期確立が求められている。

目的

食品残さの飼料化を進めるため、飼料の評価・調製法から給与システム、畜産物の品質向上技術に至る一連の技術開発を行う。

成果

  • 飼料中に混入した肉骨粉等の動物性タンパク質を高感度に検出するためのPCR法を開発した。
  • 加熱処理によるタンパク質の利用性低下を評価できる技術を開発した。
  • 茶系飲料残さ(緑茶、麦茶、烏龍茶、コーヒー等)、ケールジュース残さ、無洗米糠、あん粕等のサイレージ調製技術を開発するとともに、その飼料特性を明らかにした。
  • 食品残さを活用した発酵リキッドフィーディングによる豚肉生産技術を開発した。
  • 自給飼料活用型生産技術である食品残さ給与技術体系の普及は、飼料自給率の向上に大きく寄与するとともに、消費者に対して安全で高品質の畜産物供給を実現する。

図

研究の今後

大規模経営にも対応しうる衛生・飼養管理技術の開発をめざすとともに、食品残さの有する機能性の活用技術の開発や、食品残さのより一層の利用促進を図るためにデータベース化に取り組む。