研究代表者氏名及び所属
小林 一三
(国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科)
研究実施期間
平成24年度~26年度(3年間)
研究の趣旨・概要
爆発的に蓄積するゲノム情報を育種にどう活かすかが、現時点での生物生産研究の最大の課題の一つである。最も進んでいる微生物発酵では、ゲノムに基づいた合理的デザイン法だけでなく、実験進化法が使われている。私達は、実験進化と種内ゲノム比較から、ゲノム配列ではなくDNAのメチル化というエピゲノム状態こそが、育種の真の標的であるという考え方に至った。最大の根拠は、DNAメチル化酵素と制限酵素からなる制限修飾系が認識配列を頻繁に変換する事の発見である。そのような系の複数の組み合わせによって、一つのゲノム配列に対して、無数のDNAメチル化パターン、つまりエピゲノム状態が可能になる。それらのそれぞれが、一つのグローバルな遺伝子発現状態と一組の表現型を規定する「適応進化の素単位」と考えられる。本研究では、この考えを検証し、配列特異的DNAメチル化系を利用した育種を実現する。