生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 採択された研究課題

共生細菌によるカメムシ類の農薬抵抗性獲得機構の解明

研究代表者氏名及び所属

菊池 義智

(独立行政法人産業技術総合研究所生物プロセス研究部門)

研究実施期間

平成24年度~26年度(3年間)

研究の趣旨・概要

農業害虫の農薬抵抗性が世界的に大きな問題であり、従来は昆虫自身の性質が変化して農薬抵抗性を獲得すると考えられてきた。最近我々はカメムシ類が土壌中のフェニトロチオン(有機リン系農薬)分解細菌を体内に共生させ、これによってフェニトロチオン抵抗性になることを発見した。共生細菌によるカメムシ類の農薬抵抗性獲得は今までまったく考慮されていない盲点であり、その実態解明が必要である。

この現象は1農薬散布による土壌中の農薬分解細菌の増殖、2農薬分解細菌のカメムシによる選択的取り込み、3カメムシ体内に定着した農薬分解細菌による解毒という3つの過程を経ると考えられるが、その細菌群集動態、感染機構、遺伝子発現はまったく分かっていない。本研究では、野外調査と遺伝子発現の網羅的解析・操作実験を有機的に組み合わせて解析し、共生細菌によるカメムシ類の農薬抵抗性獲得機構の全容解明を行い、その防除につなげることを目指す。