ポイント
- 家具・内装材は、輸入広葉樹材に8割依存してきましたが、資源量減少、円安などによる価格高騰から入手が難しくなり、国産の広葉樹材の活用が検討されています。
- 国産広葉樹材の多くは、材質や強度などのデータが未整備である上、輸入広葉樹材に比べて直径が細く、用材として利用しにくいものでした。
- そこで国産の未活用広葉樹材を加工し、製品として利用するための品質基準を整備しました。成果はデータ集発行や試作品の展示などを通じて公開、普及を進めています。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。
今回、紹介するのは森林研究・整備機構森林総合研究所を代表機関とする研究グループが、イノベーション創出強化研究推進事業において、国産の未活用広葉樹材を家具・内装材として利用するための技術を開発し、品質を担保する基盤整備に取り組んだ研究です。
国内の家具・内装材メーカーでは、かつては国内の天然林由来の広葉樹材を原料としてきましたが、過剰な伐採により国内での入手が困難になったことから、現在では8割以上を輸入広葉樹材に依存しています。しかし、世界的な資源量の減少や近年の円安などの影響により輸入広葉樹材の価格高騰が続き、調達が困難になってきています。
こうした状況の中で、多くの家具・内装材メーカーは国内の広葉樹資源の活用を検討しています。特に成長が早く樹齢20年程度で家具・内装などの用材として利用できる早生広葉樹や、これまで雑木として扱われてきた未活用広葉樹の活用が注目されています。
しかし、これらの国産広葉樹材は材質や強度など、家具・内装材の製造業者が製品設計の際に参照可能な基礎データが整備されていませんでした。そこで研究グループは、センダン、ハンノキ、ホオノキ、コナラの4樹種について、材質・物理特性、加工特性、乾燥スケジュールに関するデータを測定、蓄積し、データ集として森林総研のホームページで公開しました。さらに輸入材に比べて直径が細く使いにくい国産広葉樹材の品質基準を調査・整備し、製品にするための加工技術の開発も行ったうえで、椅子やテーブルなどの試作品を展示会に出展、来場者の意見を聴くなどして普及を進めています。
詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/170954.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全66話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html