生物系特定産業技術研究支援センター
《こぼれ話3》害獣を自動捕獲するロボットホカクン
2020年4月1日号
捕獲労力を大きく削減
農業生産者の高齢化で害獣対策の担い手が少なくなっている中、シカやイノシシ、サルなどが農作物を食い荒らす食害が全国で深刻な状況になっています。その助っ人として、狙った害獣を自動的に檻に閉じ込める機能をもった自動遠隔捕獲装置「ロボットまるみえホカクン」が登場しました。
三重県伊勢市の株式会社アイエスイーと兵庫県立大学自然・環境科学研究所、鳥羽商船高等専門学校などが共同で研究開発したICT (情報通信技術、Information and Communication Technologyの略) とIoT (モノのインターネット、Internet of Thingsの略) 技術を用いた捕獲システムです。
※IoT=電化製品や車、カメラ、医療機器、檻などのモノがインターネットに接続され、相互に情報をやりとりすることを意味します。
寝ている間に害獣を自動捕獲
山に設置された檻の周囲には、獣の動きを監視する赤外線カメラや獣の侵入を知らせる感知センサー (写真1) など複数のセンサーが取り付けられ、檻内外の害獣の有無を判別して、檻の扉が自動的に閉まるというすぐれたシステムです。
以前は、スマートフォンで画像 (写真2) を見ながら、手動で扉を閉める遠隔操作タイプ (「クラウドまるみえホカクン」) でしたが、それがさらに進化して、寝ている間にも狙った害獣が捕獲できるという機能が加わりました。
(写真はいずれも株式会社アイエスイー提供)
動画はクラウド上に保管されるため、複数の人が情報を共有でき、地域全体で多数の檻を管理することもできます。遠隔監視と自動捕獲機能を併せ持つことで目的外の動物を捕獲するミスを防ぐことができ、捕獲にかかわる労力も大きく削減することが可能になります。
20万円でバージョンアップ
収穫期の稲や野菜・果樹が食い荒らされる農作物被害は、2018年度は158億円 (農水省調べ) もありました。害獣による食害は、営農意欲の減退や荒廃農地の増加、森林の下層植生の消失による土壌流出など日本の農林業に深刻な影響をもたらします。「クラウドまるみえホカクン」は三重、和歌山、北海道、兵庫、大分など全国の270カ所以上で導入されています。2019年夏に販売された「ロボットまるみえホカクン」(価格は100万円程度) も、北海道、山形、栃木、三重、奈良、兵庫などにある約30の自治体で導入されています。すでに従来型の「クラウドまるみえホカクン」を使っている場合は約20万円の追加費用で自動化できます。
事業名
革新的技術開発・緊急展開事業 (うち地域戦略プロジェクト)
事業期間
平成28年度 ~ 平成30年度
課題名
ICTを用いた総合的技術による農と林が連動した持続的獣害対策体系の確立
研究代表機関
兵庫県立大学
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こぼれ話は毎月1日、15日に更新予定です。
こぼれ話の①~⑱は日本語と英語で読めます。その18話を冊子『日本の「農と食」 最前線-英語で読む「研究成果こぼれ話」』にまとめましたのでご覧ください。