生物系特定産業技術研究支援センター

SIP

第2期 スマートバイオ産業・農業基盤技術

「スマートバイオ産業・農業基盤技術」の社会実装

第6期科学技術基本計画におけるSociety 5.0 と、バイオ戦略が目指す社会への貢献を目的として、「食」領域のデジタル化を進め、Society 5.0 のインフラとなるデータ・情報利活用基盤の構築とその活用による農業生産の高効率化やフードロス削減、流通改革など食のサステナビリティに繋がるバリューチェーンの変革施策の社会実装を図ることを目指しています。

「スマートフードシステム」と5つの取り組み分野

「食」のサステナビリティ実現のための「食」の循環経済化モデル(スマートフードシステム)をフレームとし、その構築に必要となるパーツとして「データ・情報利活用基盤の構築」と「バリューチェーンを変革する個別開発技術の展開」を進めています。

取組みは、「データ・情報利活用基盤の構築」を中核とし、データ・情報利活用基盤を利用して「開発」、「生産」、「流通」、「消費」、「資源循環」まで、"使って" "終わり"ではなく、"使って" "更にまた使う"を具体的なテーマとする社会実装にむけて、5つのコンソーシアムによって構成しています。

これにより、バイオ関連データの利活用の活性化、異分野やベンチャー企業等の食領域事業への参入促進、海外輸出も含めた日本の農産物や加工食品による農業の成長産業化に貢献することを目指しています。 スマートフードシステムが生み出すデータは、「データ・情報利活用基盤」であるukabis(https://ukabis.com)およびNBDC/DBCLS(※)が提供するアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を通して利用できます。これらのデータを研究者、生産者、流通事業者、企業などが自由に組み合わせて利用することで、新たな研究成果やビジネスモデルが生まれ、循環型経済・バイオエコノミーが実現します。

※NDBC/DBCLs:NDBC(National Bioscience Database Center)はJSTのバイオサイエンスデータベースセンター)、DBCLS(Database Center for Life Science)は大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設のライフサイエンス統合データベースセンター

スマートフードシステムの全体像
研究成果の社会実装としての製品やサービス

基盤施策であるデータ・情報利活用基盤を、循環経済化のためのデジタルインフラとして位置づけ、バリューチェーン変革課題である5つのコンソーシアムの取組みを社会実装することで農産品を中心にバリューチェーン上のデジタイゼーション/デジタライゼーションを進め、循環型の経済の実現に貢献します。

期待される効果として、農産物を中心に「開発」、「生産」、「加工」、「流通」、「消費」という"動脈"と、消費後の処理や資源循環という"静脈"を合体し、「開発」から「資源循環」までの個々の取り組みだけでなく、各ステージが相互に連携し、食に関する活動が総合的な持続的成長につながることを目指します。

また、各ステージの開発を担うコンソーシアムが情報を共有し、連携を可能とする環境を整備することで、単一の問題解決だけを追い求めるのではなく、領域を超えた多様な取り組みにおける成果も提示したいと考えています。

項目として大小含めてかなり多くの取り組みがありますが、バイオ・農業分野のイノベーションは、何か一つ新しい技術で世の中を変えるのではなく、日々の生活スタイルや行動様式を一つひとつ丁寧に循環型へと変えていくものであり、それに向けて各取り組みの一つひとつの成果を積み重ねていきたいと思います。

SIPでは、社会実装の形を次のような3つに分類しています。

I型 社会インフラにかかるプロダクト・サービスの整備・運用開始、法令の制定・改正
II型 協調領域におけるデータベース、共通シミュレーションの整備、運用開始、標準(規則、制度を含む)の展開・制定等
III型 プロダクト・サービスの上市

SIP「スマートバイオ産業・農業基盤技術」では、「開発」、「生産」、「流通」、「消費」、「資源循環」という5つの分野において、多くの社会実装に取り組んでいます。下記に、代表的な実装テーマを例示します。

製品・サービス内閣府
社会実装
類型
貢献する社会課題
開発 データ駆動型育種支援システム III型 育種力の強化
育種素材の付加価値向上
農林水産物・食品の輸出目標への貢献
生産 知能化農機 自動走行制御ソフトウェア II型 農業生産コスト・労働時間の削減
農業現場の効率化・農業経営の強化
流通 スマートフードチェーンプラットフォーム
ukabis
II型 従業員の生産性向上による経済損失防止
消費 統合健康栄養食品民間認証スキーム II型 仕事のパフォーマンスの向上
健康の維持・軽度不調の改善
資源
循環
アグリ・バイオスマート化学生産システム
(ABCs)
III型 農作物の未利用バイオ資源の活用促進
農業従事者の所得向上
スマートフードシステムと未来のバイオ・農業

スマートフードシステムは、2023年度末までに実現・構築した社会実装を起点に、様々な方々の参画のもとに活用頂くことで新たなビジネスを創出し、農業および食関連産業に新たな価値をもたらし、「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」という内閣府が定めるバイオ戦略の目標達成に貢献します。