中央農業研究センター

北陸病害虫防除グループ

北陸地域の農業生産現場で問題となっている病害虫を研究対象としています。これまで、病害分野では、マルチラインでのイネいもち病菌のレースの変動予測やイネ墨黒穂病菌等のカビ毒に関わる研究、虫害分野では、土地利用型作物における景観情報等に基づく害虫管理技術の開発等、様々な研究課題に取り組んできました。
今後の5年間は、メンバー全員が、中長期計画の「寒冷地南部の湿潤な気象・土壌条件における高能率水田輪作体系の確立」を担当します。近年、北陸の水田輪作体系で重要な作目であるダイズの収量が低迷し、改善が強く求められていることから、ダイズ生産の制限要因となる病害虫の管理技術の開発に特に力を入れます。
ダイズ黒根腐病では、本病発病に関連する栽培環境等の解明を通して、発生・発病リスクを推定するとともに、本病に有効な対策技術を開発し、リスクに応じたダイズ黒根腐病管理技術についてマニュアル化します。ダイズ茎疫病では、日本で発生する菌の病原型とダイズ系統・品種の関係や抵抗性の特性を解析し、地域に適合する効果的な抵抗性の利用法を明らかにします。ダイズ害虫のマメシンクイガでは、中耕や水稲との輪作など耕種的方法による防除対策の導入方法を明らかにして、薬剤防除と併せた対策を提案します。
これらの研究結果の公表や技術の普及を進めることで、北陸地域におけるダイズ病害虫の被害軽減、ひいてはダイズの安定生産を目指します。
地域の問題は、農業者と繋がりが深い地方自治体と連携して解決することが望ましいと思います。前述のダイズの病害虫の課題もすでに県の関係機関と協力しているところですが、今後は、近隣県との関係をさらに深めて地域の農業に貢献する研究を展開したいと考えています。また、当グループでは、様々な病原型のダイズ茎疫病菌を保有し、日本産ダイズの品種や系統の抵抗性に関する情報を蓄積しつつあります。病害抵抗性育種に利用したいというご希望がありましたら、お知らせください。daizudisessinndann.png

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