北海道農業研究センター

小麦育種グループ

国内の小麦生産の約6割を占める道産小麦の安定生産を通じて、農家の収益性の向上と自給率向上に貢献するため、耐病性や収量性等の農業特性に優れ、実需者ニーズに応じた製パン適性等の付加価値の高い寒地向けパン・中華めん用や菓子用等の品種育成を行っています。

耐病性、穂発芽耐性、製パン適性等に優れる品種の育成

耐病性および障害抵抗性については、コムギ縞萎縮病、赤かび病等に抵抗性を示す系統選抜を行うとともに、穂発芽耐性の検定・選抜に加えて種子休眠性関連遺伝子のDNAマーカー選抜により、穂発芽耐性と優れた農業特性を併せ持つ母本を開発しています。また、製パン適性等の加工適性に関わる種子貯蔵タンパク質含有率のQTLマーカー等を利用した選抜技術の開発に取り組むとともに、実需者と連携して新品種や有望系統等の加工品の評価等を行っています。

リモートセンシングによるタンパク質含有率の推定と施肥技術の開発

普及現場において新品種に対応した適正なタンパク質含有率を実現するために、現地農家等と連携してリモートセンシングによるタンパク質含有率の推定を行い、追肥等の栽培技術に活かす取り組みを進めています。

これまでの秋播きパン用小麦品種の育種の成果として、製パン適性が高い「キタノカオリ」(平成15年)を育成し、さらに中カ粉とのブレンドでより良品質のパンができる超強力秋播き小麦「ゆめちから」(平成21年)を育成しました。「ゆめちから」は、コムギ縞萎縮病に強く、北海道での栽培面積は1万ヘクタールを超えています。「みのりのちから」(平成25年)は、多収で中華麺に適するほか、本州では醤油用としての普及が期待されています。

パンの比較写真

メンバー