中日本農業研究センター

所長室より - 所長就任にあたって-

農研機構 中央農業研究センター 所長 荒尾知人araosyocyou20190509_500x508.png

農研機構は、昨年4月に新しい体制となり、「農業の産業としての自立」を目指して農業食品分野におけるSociety5.0の実現など、理事長が掲げた組織目標に向けて重点的に取り組んでいます。中央農業研究センターではこれまでに数多くの研究成果をあげてまいりました。今年から始まる、「スマート農業加速化実証プロジェクト」でも、代表機関として、「関東平坦部における栽培管理支援システムとスマート農機の連携による大規模水稲作営農体系の実証」に取り組んでまいります。

最近の話題としては、中央農業研究センター北陸拠点で、冷めてもおいしい水稲新品種「つきあかり」の栽培マニュアルを公開しました。「つきあかり」は平成31年度には5000ヘクタールへの普及拡大が期待されます。また、業務用に向く品種として、成熟期の異なる「つきあかり」、「にじのきらめき」、「あきあかね」をそろえ、大規模稲作に不可欠な作期分散を可能としました。

2月27日には秋葉原で「SIP農業」新たな植物保護技術コンソーシアム研究成果発表会を開催し、施設栽培トマトとイチゴの新たな病害虫防除戦略について紹介しました。天敵昆虫の効率的利用等への期待は大きく、コンソーシアム外の参加者が170名を超え盛会でした。関連して3月28日には「化学合成殺虫剤を半減する新たなトマト地上部病害虫防除体系マニュアル」を公開しました。

新しい技術を開発するよりも、その技術を普及させることの方が難しいと一般的に言われています。今後も農業技術コミュニケーターを中心に成果技術の社会実装のために取り組んでまいります。一方、基礎研究がなければ次の新しい技術は生まれてきません。基礎、応用、実用化等の研究開発段階に対して研究資源をバランスよく配分し、将来の種となる目的基礎研究もしっかり推進してまいります。

私たちは、農業という国民にとって不可欠な産業を持続的に発展されるための技術的基盤を提供していく、という大きな社会的責任を負っています。これからも中央農業研究センターに対して一層のご支援、ご協力を賜りますよう、どうかよろしくお願い致します。