中日本農業研究センター

所長室より - 所長就任にあたって-

中央農業研究センター 所長 白川 隆

令和2年4月1日付で農研機構中央農業研究センターの所長を拝命しました。就任にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

関東東海北陸地域の農業産出額は、全国の35%を占めています。このうち、米の同39%、野菜の同44%、花きの同53%と耕種全体では同40%であり、我が国の農業にあって大きな部分を占めていると言えます。また、この地域には首都圏近郊の都市近郊農業地帯、日本海側の水田農業地帯、東海地域の温暖な気候を利用した農業地帯、長野県や群馬県等の高冷地産地等、多種多様な産地が存在しています。一方、日本の他の地域と同様に、農業者の高齢化と後継者不足から農業経営体数が減少するとともに、経営耕地面積が減少しており、収益性が高く、かつ省力的で魅力ある農業を実現する技術が求められています。

このような背景のもと、中央農業研究センターは、農研機構のフロントラインとして関東東海北陸地域の農業が直面する様々な課題を把握し、これらの課題を研究開発によって解決するとともに、農研機構で開発した技術・品種の確実な普及を通じて、地域農業の発展に貢献したいと考えています。

具体的には、農業者の高齢化と後継者不足の解決を目的として、農研機構が目指す農業・食品分野の「Society 5.0」の早期実現を達成すべく、農業情報研究センター等の農研機構内の機関と連携して、農業収益性を勘案しながら、農業技術や研究開発へのIoT、AI、ロボット技術の導入を促進します。また、令和元年度から開始された「スマート農業実証プロジェクト」では関東東海北陸地域で令和元年度に採択された11課題に加えて令和2年度に採択される課題について、同地域の事務局としてスマート農業技術の確立と早期普及を強く推進するとともに、現技術の問題点を抽出して解決へと導きます。

農研機構が開発した技術・品種について、農研機構本部事業開発室の協力のもと、事業化推進室と開発した研究者が一体となって現地実証研究等の営農現場での活動を重視しながら普及促進を図ってまいります。また、これまでも開催していた農研機構サイエンスカフェ等を通じて農研機構の研究開発をわかりやすく国民の皆様に伝えてまいります。

農研機構は国民にとって必要不可欠な農産物・食品の安定供給と自給率向上に研究開発を通じて貢献するという大きな社会的責務を負っています。中央農業研究センターは、今後も農業者、行政機関、公設試験研究機関、大学、民間企業等との連携によって地域農業の課題解決と発展に向けて取り組んでいきます。

中央農業研究センターはその責務を果たすために全職員が一丸となって取り組んでまいりますので、一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

令和2年4月
農研機構 中央農業研究センター
所長 白川 隆