農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン準備号第3弾(2010年3月号)

目次

1)トピックス

◇プレスリリース(平成22年3月31日10時発表)

「ため池」等防災・減災のために開発した技術成果5点をリーフレットにして関係機関に配布

ポイント

  • ため池・農地のハザードマップ作成技術、高度防災情報システム、ため池の改修技術、農地の保全対策効果の評価の5点の技術成果をリーフレットにとりまとめました。
  • 農林水産本省、地方農政局、都道府県の防災担当部局等の機関に配布し、具体的な問い合わせにも農工研が対応します。

概要

農研機構 農村工学研究所(所長 小前隆美)は、ため池・農地のハザードマップ作成技術、高度防災情報システム、ため池の改修技術及び農地の保全対策効果 の評価の各研究に、平成17年度から21年度まで取り組んできました。

農村工学研究所は、これまでの研究成果を毎年発生する農村地域の災害に対する予測や対策に活用することが減災につながると考え、主要な研究成果5点をリーフレット形式に統一し、関係機関に配布します。それぞれには研究担当者を明記し、関係機関からの問い合わせに対応しており、これらの成果の普及を通して災害に強い農村地域の実現を目指します。なお、これらの研究は農林水産省の競争的資金「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」の課題「ため池等の低コスト改修・高度防災情報による防災対策技術の開発」により実施されました。

※詳細は、以下のURLをご覧下さい。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nkk/013028.html

2)農村工学研究所の動き

◆『平成21年度農村工学研究所研究会』を開催しました

3月10日、11日の両日、農工研は平成21年度研究会を農林水産省技術会議事務局筑波事務所共同利用施設において開催しました。研究者、農業農村整備に携わる技術者、大学教員や学生など延べ808名の参加者がありました。農林水産省農村振興局整備部の斎藤部長に「農業・農村に求められるこれからの技術」と題した基調講演をいただいた後、5つの研究会が開催されました。

各研究会とも所内外の講師による講演や発表、総合討論が活発に行われました。ご参加いただきました皆様方に厚く御礼申し上げます。なお、研究会の概要は後日、所HP上にアップする予定です。

◆JST-JICAプロジェクト「持続可能な地域農業・バイオマス産業の融合」メンバーが、山田バイオマスプラントおよびつくば市へ訪問

2月26日に、JST-JICAプロジェクト「持続可能な地域農業・バイオマス産業の融合」のベトナムのカウンターパート6名が、山田バイオマスプラントを訪問されました。

このプロジェクトは東京大学生産技術研究所(日本側代表)、東京大学農学部、農村工学研究所の3つの日本側研究機関と、ホーチミン市工科大学(ベトナム側代表)、熱帯生物学研究所、ホーチミン市科学技術部、ハノイ工科大学の4つのベトナム側機関の共同により、ベトナム南部において持続可能な地域農業・バイオマス産業の融合を提案・検証することを目標としたものです。

農工研はこの中で、バイオマス利活用が農業と環境へ及ぼす影響の解析を担当しています。ベトナムで試作・設置するパイロットプラントに、様々なバイオマス変換を組みあわせた山田バイオマスプラントの運転ノウハウが活かされればと考えています。

同一行6名は、3月5日にはつくば市へ訪れ、農工研・食総研・JIRCAS・産総研等の研究機関を見学されました。

農村総合研究部 資源循環システム研究チ-ム長 柚山義人
研究員 折立文子

3)新しい技術や研究成果の紹介

●簡易モニタリングを用いた農地から地下水への農薬負荷の推定

2006年5月に、食品中の残留農薬に対する規制としてポジティブリスト制が導入され、これまで以上の厳格な規制がなされることとなり、農薬が人の健康や環境に及ぼす影響についての関心が高まってきています。

また農林水産省により現在実施されている「農地・水・環境保全向上対策」では、化学合成農薬への過度の依存から脱却し、環境保全型農業の推進が支援されています。ただし、環境保全型農業による地下水質改善の効果判定のためには、石灰岩層等で見られる不均一な浸透特性を考慮し、農薬の農地から地下水への浸透特性を正確に把握する必要があります。ここでは、地下水中の農薬濃度を免疫学的反応に基づく方法によりモニタリングし、それらの結果を用いて、不飽和層の浸透過程における農薬の減衰割合を算定し、農地から地下水へ負荷される農薬濃度を推定する手法を提案しました。

農村総合研究部 地球温暖化対策研究チーム 主任研究員 土原健雄

http://naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mmj3_junbi3-2.pdf

4)最新の「農工研ニュース」より

●農業用水路の劣化予測と補修・補強・更新費用の算定を支援するソフトウェア

ストックマネジメントでは施設の診断と劣化状態の将来予測を行うと共に、劣化予測に基づいた適時の補修・補強・更新にかかる費用算定等を行うことになります。

一方、ライフサイクルコスト(LCC)算定が経済的評価手法であることや、劣化予測にマルコフ連鎖などの統計モデルがあることから、これまでなじみの薄かった技術の習得が必要となります。

そこで、農業用水路を対象とした、診断結果の取りまとめから劣化予測及び費用算定までの一連の作業をパッケージで行うソフトウェアを開発しました。

農村総合研究部 地域資源保全管理研究チーム長 本間新哉

http://naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mmj3_junbi3-3.pdf

5)メッセージ

◇農工研では、2010年4月から「農村工学研究所メールマガジン」(以下、メルマガ)を毎月、配信する計画で作業を進めています。今回は準備号第3弾です。

政府が昨年の12月末に公表した新成長戦略(基本方針)では、農業用水利施設を含む社会資本ストックの戦略的維持管理の重要性が明記されています。

また、六次産業化、観光を含めて農村にある地域資源の活用、グリーン・イノベーション、官だけに頼らない新しい公共の実現などが重要な成長戦略であるとされています。

このような社会の動向に対応するため、これまでも水田の地下水を自動的に制御するシステムによる生産性の向上、水利施設のストックマネジメント、地域資源の保全、バイオマス利活用、多面的機能の発揮などに活用できる技術開発に取り組んできています。そのため、農工研の役割は、益々高いものがあると考えています。大学・民間研究機関との共同研究等による産学官連携等の推進も含めて、今まで以上により具体的に社会貢献できる研究成果を生み出し、農業・農村地域の活性化につなげられるよう取り組んでいくと共に、タイムリーな情報発信にも努めていきますのでよろしくお願いいたします。

企画管理部長 小泉健

6)イベントのご案内

(1)『平成22年度農村工学研究所一般公開』は、例年のとおり、科学技術週間期間中に2日間開催します。

期日:平成22年4月16日(金曜日)~17日(土曜日)10時00分~16時00分

テーマ:『探検!発見!農村の宝もの』

主なイベント

  • パネル・模型等の展示
  • 野良の草花観察ツアー
  • ミニ講演会
  • 田んぼの魚と遊ぼう!
  • 水を使った体験コーナー
  • あなたの家を空から見よう!
  • 農村づくり検定
  • 野草の押し花しおりづくり体験
  • 農村景観3Dドームシアター見学
  • 温室の中の見えない風の流れを見よう!(17日のみ開催)
  • スタンプラリー

7)編集後記

明日から4月だと言うのに、寒い日が続いています。さて、本年1月から開始した準備号の配信も、今回が最後になりました。そして、いよいよ来月から本格的な農工研メルマガの配信スタートです。配信登録頂いた皆様へ、毎回豊富な情報が届けられるよう心がけていきますので、皆様からのご意見などもよろしくお願いします。


【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
企画管理部 情報広報課 Tel:029-838-8169