農業機械研究部門

所長

所長挨拶



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農研機構 農業機械研究部門
所 長 長﨑 裕司 (ながさき ゆうじ)

 2024年4月1日付で、農研機構農業機械研究部門(農機研)の所長となりました長﨑です。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。

 農機研は、農林水産省、民間企業、大学及び公的研究機関と連携しながら、農機具、農業機械の開発・改良研究と検査に取り組んできました。1962年の特殊法人農業機械化研究所の設立から60年余の歴史を積み重ね、これまでに、高速田植機や汎用コンバインなどの開発・実用化や安全性検査の取組により、我が国の農作業の省力化や安全性向上に貢献してきました。
 農機研では、農研機構が目標として掲げる、食料自給率向上と食料安全保障、農産物・食品の産業競争力強化と輸出拡大、生産性向上と環境保全の両立への貢献に対して、農業機械の開発について、スマート農業技術の核となる農業機械等の開発と現場実装を進めるとともに、事故ゼロに向けた農作業安全システムの構築を推進しています。課題とされる、AIやロボティクスと農業機械の融合に対して、かつて1990年代にメカトロニクスの流れに対応してきたように、農業場面での適用を意識した高い性能とリーズナブルな製品コストでの実用化を目指しつつ、農業機械のインテリジェント化を目指した研究開発に努めてまいります。
 2021年度から開始した農研機構の第5期中長期計画では、農機研は「高能率・安全スマート農業の構築と国際標準化の推進」をテーマに取り組んでおります。中間年を過ぎて、スマート農機のデータ交換や安全性評価手法の開発などで、出口戦略を意識した社会実装や国際的なプレゼンス向上も進めてまいります。

 また、農業機械技術クラスター事業も発足から6年が経過し、生産現場や行政部局のニーズに対応してまいりました。機械化の遅れている野菜・果樹関係を中心に、複数の農業機械が製品化されており、スマート農業に対応した革新的なコア技術の実用化と合わせて着実に成果を上げています。農作業安全についても、ロボット農機を含めた農業機械や施設の安全性検査を実施するとともに、安全性評価手法の見直しや国際標準化を目指した取組についても節目の年を迎え、成果が期待されるところです。

 さらに、2021年に農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」の有機農業取組面積拡大に対応した技術開発として、現在「両正条田植機」の開発と実証に鋭意取り組んでおります。このように、政府方針の実現に向けて民間企業等とコミュニケーションを図りながら、農機研の強みを生かした成果の創出に努めてまいります。引き続き、皆さまのご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。