センター長挨拶

遺伝資源研究センター長の柳澤です。私は研究担当者の時は小麦・大麦の品種育成、研究管理業務を携わってからは大豆の品種育成にも関わってきました。農作物の品種育成の歴史をひもとくと、広く大きく普及する品種には有用な遺伝資源を使っています。また昨今の気候変動や国際情勢を考えると、これまで以上に遺伝資源の活用場面は増えると考えています。
遺伝資源研究センターが実施している農業生物資源ジーンバンク事業は農業や食品産業にかかわる植物・微生物・動物の遺伝資源の探索収集、特性評価、保存、配布および情報公開を行っています。遺伝資源研究センターがセンターバンク、農研機構の他の研究部門や農林水産省傘下の研究所をサブバンクという位置づけで連携して運営しています。
現在、植物、動物、微生物、合わせて約28点の遺伝資源を保存しており、これらを広く皆さんに使っていただくため、保存している遺伝資源の特性データの集積及びゲノム情報の解明や、様々な特徴的な特性を選抜してセットにした「コアコレクション」の作成など、有益で使いやすい遺伝資源作成に向けた活動を行っています。また、保有するデータを基にした未利用遺伝資源の機能予測技術開発や効率的で安定した長期保存技術開発など、遺伝資源の基盤を拡充し、未来に向けて遺伝資源を確実に残すための研究も精力的に進めています。
また国内外の関係機関との連携により、新しい遺伝資源の導入や農業上利用価値の高い特性を見出して遺伝資源の有効活用を進めていきたいと考えています。
遺伝資源研究センター
センター長 栁澤 貴司(やなぎさわ たかし)