果樹茶業研究部門
あかね
リンゴ品種「あかね」は、名前のしめすとおり満面濃鮮紅色となります。成熟期は、育成地(岩手県盛岡市)で9月上・中旬で、収穫前落果は認められません。早生品種としては日持ち性にも優れています。
主要特性
- 盛岡における成熟期は9月上・中旬です。無袋で満面濃鮮紅色に着色し、外観は極めて美麗ですが、梗あ部にさびが発生しやすいです。食味はこの時期の品種としては比較的良いのですが、やや淡白で酸味を感じます。果形はやや扁円で、大きさは200g前後でやや小さいです。
- 果肉は白色で硬く、肉質はやや粗雑です。糖度は11~12%、リンゴ酸0.6~0.7%、果汁が多く、「紅玉」に似た芳香を有します。
- 日持ち性は3~4週間です。高温期に成熟する品種としては鮮度維持期間が比較的長く、また果皮および果肉が硬く、輸送性が優れています。
- 樹姿はやや直立性です。葉に特有のクロロシスを生じ、樹勢がやや弱く、1樹当たりの収量は「旭」より劣りますが、多収型の立体樹形とし、「祝」程度の栽植密度をとれば、早生種としては十分な収量が期待できます。
- 赤星病、斑点落葉病に対する抵抗性は強く、栽培は比較的容易です。
「あかね」の結実状況
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
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この品種は、種苗法による品種登録制度が行われる前に育成した品種です。 農林認定品種として登録されております |
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交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
紅玉×ウースター・ペアメイン | ヌ-50 |
栽培適地
暖地の長野、福島県をはじめ、東北全域、北海道でも栽培が可能ですが、特に早出し地帯や、北海道のように生育期間が短く、早生品種の生産に主力をおく地方に適しています。
農林認定品種(旧:命名登録品種)
登録番号:りんご農林2号
登録年月日:1970年10月21日
育成担当者
定盛昌助、吉田義雄、土屋七郎、羽生田忠敬、村上兵衛、鈴木英雄、石塚昭吾
発表論文
園芸試験場報告. C, 盛岡, 8号, p.1-11(1973-03) : リンゴ新品種'あかね'について