果樹茶業研究部門

育成品種紹介

きざし

  • リンゴ品種「きざし」の成熟期は、長野で8月上旬、盛岡で8月中・下旬となり、「つがる」より 約20~30日早く成熟します。極早生種でリンゴの季節の到来を告げる品種となることから、「萌す」「兆し」にちなんで命名されました。

主要特性

  • 成熟期は長野で8月上旬、盛岡で8月中・下旬となり、「つがる」より 約20~30日早く成熟します。大きさは200g程度と「つがる」に比較するとかなり小さいですが、250g位までは大きくなります。全面濃紅色に着色し外観は比較的良好です。ただし、 年によってはさびが発生し多少外観をそこねる場合があります。
  • 糖度は13%前後で、早生品種としては高いです。リンゴ酸は0.63~0.93g/100mlで食味は濃厚ですが、やや酸味の強い傾向があります。ただし、果汁が比較的多く肉質も良好なことから、盛夏期のリンゴとして風味爽快です。日持ち性はやや短く、完熟した果実の鮮度保持期間はほぼ5日程度です。
  • 樹勢は旺盛で大きくなり、半開張性です。中・太枝の表面がやや粗皮状と なりますが、生理的障害に基づくものではありません。花芽の着生が多く、ゴールデンを除く一般栽培品種との交雑和合性も高く豊産性です。収穫前の着果は少ないです。特に問題となる病害は認められていません。

「きざし」の結実状況図 「きざし」の結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
3826
(1990年3月31日)
1900年1月 1日 2933
(1991年12月16日)
18
(満了日:2009年12月17日)
交配組み合わせ 旧系統名
ガラ×スターク・アーリエスト リンゴ盛岡41号

栽培適地

栽培的には極早生品種として、長野、山梨、石川、富山県など、温暖なリンゴの早出し地域に最も適する品種です。東北では'つがる'や'さんさ'の成熟期と重なるため、中央市場への出荷については多くを期待できないが、地場消費用としての普及が期待されます。 

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:りんご農林8号

登録年月日:1990年6月

育成担当者

吉田義雄、羽生田忠敬、土屋七郎、増田哲男、別所英男、真田哲朗、小森貞男、D.W.マッケンジー

発表論文

果樹試験場報告20号, p.25-40 (1991-03) : リンゴ新品種'きざし'

園芸学会雑誌59別2, p.70-71 (1990) : リンゴの新品種‘きざし’について.