果樹茶業研究部門

育成品種紹介

いわかみ

リンゴ品種「いわかみ」は、育成地(岩手県盛岡市)での熟期は9月下旬で、早生種と中生種とをつなぐ品種です。特に酸味の強いことから消費の多様化が期待できます。

名前の由来は、岩手県の岩(いわ)と北上川の(上)の音を取り、また、「ひめかみ」(姫神)と姉妹品種であることから、「いわかみ」(岩神)としました。なお、育成地の近くに岩神山があります。

主要特性

  • 果実の大きさは、250g前後で中くらいです。形は、円形で王冠はなく、果面は全面鮮紅色に着色します。梗あ部にさびが発生しやすいです。
  • 果肉の色は黄白で、硬さは中位です。蜜入りの発生は少ないです。糖度は14%前後、酸度は0.7%前後で酸味はやや強いですが、味は濃厚です。
  • 育成地(盛岡)での熟期は9月下旬です。日持ち性は室温で10~20日前後、冷蔵で2ヵ月程度です。
  • 樹姿はやや開張性で強健、豊産性です。樹勢および生産力に問題はありませんが、つるさびが出やすいので摘果に注意し、中心果を残すようにします。特に問題となる病害は認められていません。

「いわかみ」の結実状況 図 「いわかみ」の結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
1170
(1984年3月31日)
1900年1月 1日 932
(1985年7月18日)
18
(満了日:2003年7月19日)
交配組み合わせ 旧系統名
ふじ×紅玉(こうぎょく) リンゴ盛岡39号

栽培適地

早稲種と中生種をつなぐ品種として、リンゴ産地全域で栽培可能です。

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:りんご農林6号

登録年月日:1984年5月15日

育成担当者

吉田義雄、羽生田忠敬、土屋七郎、真田哲朗、増田哲男、別所英男、定盛昌助

発表論文

果樹試験場報告. C, 盛岡12号, p.11-20(1985-03) : リンゴ新品種'いわかみ'について

農業技術39巻・ 12号, p.555-558(1984-12) : 「ひめかみ」「いわかみ」の育成とリンゴ育種の課題

園芸学会昭和59年度春季大会研究発表要旨, p.84-85 (1984) : リンゴの新育成系統"盛岡37号"、"39号"について