西日本農業研究センター

技術適用研究チーム

高品質なミカンを生産するには、果実糖度が上がるように土壌水分をコントロールし、適度な乾燥ストレスをかける必要があります。このため、西日本農業研究センターではマルチシートとドリップ(点滴)かん水を組み合わせたマルドリ栽培技術を開発し、普及に努めてきました。しかし、マルチシートで被覆をしても雨水がカンキツの根域に入ってきた場合や、根がマルチシートの外まで広がった場合、マルチシートの効果が十分に得られず、果実が低糖度となる園地があります。このような園地でも高品質果実の生産を可能とするシールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)を農研機構果樹茶業研究部門興津カンキツ研究拠点(静岡)が開発しました。この栽培技術は、防水・防根効果のあるシートをカンキツの樹列を囲むように地中に埋設します。これにより、根域への雨水の流入を防ぎ、土壌水分をコントロールできる範囲に根域を集めることができます。技術適用研究チームでは、NARO S.マルチを中国四国地域のカンキツ園に適用するための検証試験を行っています。

S.シートを用いたマルチ栽培(NARO S.マルチ):
雨がカンキツの根域に入るのを防ぐマルチシートと、地表および土壌を伝って雨水が根域に入るのを防ぐS.シートとを組み合わせた栽培方法

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