このCD-ROM版「亜熱帯における野菜・花き作導入による高収益農業技術の確立」は、地域先導技術総合研究として、平成10年度から平成14年度までの5年間にわたり、九州沖縄農業研究センターが関係機関の協力を得て実施した研究の成果をとりまとめたものである。
沖縄本島を中心とする地域では亜熱帯気候に適応した農業が展開され、サトウキビ等が基幹作物として島の産業の中心となっている。しかし、これらの作物では、台風や干ばつ等の自然災害、国際的な価格競争の激化、小規模経営に起因する機械化の遅れ、農家の高齢化などの問題が深刻化し、収益性の低迷と生産の減少につながっている。これらの地域では、基幹作物サトウキビ等の経営規模拡大、機械化を進めて生産性向上を図りつつ、一方で新規野菜・花きの導入による高収益な農業経営の実現をめざすという新たな営農体系の構築が緊急に求められている。
本研究は、こうした試験研究に対する要望に応えて、新規高収益園芸作物の導入を図り、基幹作物生産を維持しつつ収益性の向上をめざす、地域複合営農技術体系の導入を目的に、沖縄、鹿児島両県が実施した「地域基幹研究」と連携して実施したものである。研究にあたっては沖縄本島北部の宜野座村に現地営農試験地を設け、(1)イチゴ、カーネーションなど地域として新規に導入する野菜・花きの高収益生産技術の確立、(2)野菜・花き導入のための栽培環境改善技術・作付け体系の確立、および(3)これらの技術の総合化、を目標とした。
この研究成果は、今後における農林水産関係の試験研究及び行政の推進、とりわけ南西諸島における新たな農業体系の構築の上で貴重な知見を与えるものであると考え、ここに成果の概要をとりまとめるとともに当センターウェブサイトにも掲載し、広く関係者の参考に供する次第である。
終わりに、現地沖縄においてご協力を賜った宜野座村および村内先導的農家の方々ならびに沖縄県農業試験場をはじめ多大なご協力をいただいた各機関の皆様に対し深く感謝の意を表するとともに、研究を担当し、推進した各位の労を多とするものである。
平成15年7月
農業技術研究機構機構
西南地域研究担当理事 高木清継