九州沖縄農業研究センター

イネ・ウンカ類文献データベース

イネ・ウンカ類文献データベース(Ver.2 2007年)

分析・モニタリング室 有村一弘

  • これは、イネのウンカ類に関する学術論文と講演要旨集のデータベースです。調査し論文を採録した雑誌の名称とその巻・号(発行年)は以下の通りです。
    • 日本応用動物昆虫学会誌 1巻1号(1957年)~ 51巻1号(2007年)
    • 北日本病害虫研究会報2号(1951年)~ 55号(2006年)
    • 関東・東山病害虫研究会報1集(1954年)~ 53集(2006年)
    • 北陸病害虫研究会報1号(1950年)~ 55号(2006年)
    • 関西病害虫研究会報1号(1958年)~ 47号(2005年)
    • 四国植物防疫研究1号(1966年)~ 40号(2005年)
    • 日本応用動物昆虫学会中国支部会報5号(1963年)~ 48号(2006年)
    • 九州病害虫研究会報1号(1955年)~ 52巻(2006年)
    • 九州農業研究2号(1949年)~ 66号(2004年)
  • イネ・ウンカ(ツマグロヨコバイを含む)類の研究をする際にお役に立てば幸いです。
  • ここでは、文献リストをPDFファイル形式とXLSファイル形式で、公開しています。
  • 大まかな解説(主として、トビイロウンカとセジロウンカの生態に関して)
    トビイロウンカについては当初、国内越冬説が優勢であった(糸賀・酒井、九州農業研究、1952)。
    しかし、海上でトビイロウンカやセジロウンカが捕獲されるようになってからは、海外飛来説が有力になり(岸本、東京中央公論社、1975)、現在では幅広くその考えが、支持されている。
    当初、イネの主要害虫は坪枯れを引き起こすトビイロウンカであり、その他のイネ・ウンカ類はそれほど重要視されてこなかった(久野、九州農試彙報、1968)。しかしその後、セジロウンカの飛来量が増え、九州地域のみならず、北日本にまで影響を与えるようになった。特に北陸地域ではセジロウンカによる、全面枯れも見られた(松村、北陸農業試験場報告、1997)。また、加害形態が九州地域とは異なっている(那波、日本応用動物昆虫学会誌、1988)。
    そのような中、それまで原因不明のセジロウンカ卵の卵死亡が、単なる卵死亡ではなく、イネによるセジロウンカ卵の殺卵反応であることが発見された(鈴木ら、九州病害虫研究会報、1993)。
    このイネによるセジロウンカ卵の殺卵反応は、日本稲では強く、インド稲では弱いことが明らかにされた。なお、殺卵物質は安息香酸ベンジルであると同定されている。
    トビイロウンカやセジロウンカの天敵も研究されているが、その中でも注目されているのが、カタグロミドリカスミカメムシである(中須賀ら、九州病害虫研究会報、 1988)。
    近年、脚光を浴びているのが、セジロウンカに加害されたイネが、病害抵抗性を示すことである(佐藤ら、日本応用動物昆虫学会誌、2005)。九州地域では、セジロウンカによるイネへの直接的な加害による影響は、あまり重要視されていない。むしろ、夏ウンカ、つまりセジロウンカは肥やしになるということわざもあるくらいである(宇根ら、農文協、1989)。今後の研究の発展が期待される。

    補足)バージョンアップの内容日本応用動物昆虫学会誌を新たにベーターベースに加えました。
    採録された雑誌も、さらに精密に調査しました。
    イネ・ウンカ類の生態に関する、大まかな解説を加えました。