要約
定植時期のジノテフラン1%粒剤と交配期前のピリダベン20%水和剤による防除体系は、メロン退緑黄化病に対する被害抑制効果が認められる。また、育苗期後半の粒剤処理は、定植時の植穴処理に比べてその効果が高い。
- キーワード: タバココナジラミバイオタイプQ、CCYV、ジノテフラン、ネオニコチノイド
- 担当: 熊本農研セ・生環研・病害虫研究室
- 代表連絡先: Tel:096-248-6490
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
タバココナジラミが媒介するメロン退緑黄化病(以下、退緑黄化病)の被害は、葉が黄化することで草勢が低下し、果実重量および糖度が低下することから、生産現場で大きな問題となっている。退緑黄化病に対しては生育初期の防除が有効と考えられるため、定植時期の粒剤と交配期前の散布剤による防除体系の被害抑制効果を明らかにする。また、粒剤の効果的な処理時期を検討する。
成果の内容・特徴
- 定植時期のジノテフラン1%粒剤処理と交配期前のピリダベン20%水和剤散布による防除体系は、成虫に対する密度抑制効果および退緑黄化病に対する被害抑制効果が認められる(図1、図2、表1)。
- 定植2日前のメロン苗に粒剤を処理する育苗後半区と定植時の植穴に処理する定植時区を比べると、成虫に対する密度抑制効果はほぼ同等である(図1)。
- 育苗後半区は、定植時区に比べて発病株率および発病度が低く、媒介抑制効果が高い(図2)。
- 2か年の実証試験において、定植時区では無処理区に比べて2008年の糖度で有意に高いのみであるが、育苗後半区では無処理区に比べて2か年とも有意に重量が重く、糖度が高い(表1)。育苗期後半の粒剤処理と交配期前の散布による防除体系は、定植時の植穴処理との防除体系に比べて果実品質の低下を抑制する傾向が高い。
成果の活用面・留意点
- 栽培するハウス開口部に目合い0.4mmの防虫ネットを展張することで、退緑黄化病に対する被害抑制効果はさらに安定する。
- 特に本体系は、野外からハウス内への保毒虫の侵入が多い時期となる抑制栽培において活用できる。
- 粒剤の処理後、植物体内の成分濃度が上昇し、効果が認められるまでに一定時間を要する。粒剤処理した2区の効果差の要因は、育苗後半区では定植時に媒介抑制効果が認められる成分濃度に上昇していたためと推察される。
具体的データ
その他
- 研究課題名: タバココナジラミにより媒介される新規ウリ科野菜ウイルス病の統合型防除技術体系の開発
- 予算区分: 実用技術
- 研究期間: 2008~2009年度
- 研究担当者: 樋口 聡志、行徳 裕
- 発表論文等: 樋口、行徳(2010)九病虫研会報、56:77-82