要約
6月下旬および7月下旬プロベナゾール粒剤ならびに6月下旬プロベナゾール粒剤および5月下旬~6月上旬ベンフラカルブ・プロベナゾール粒剤の各2回散布体系は、ネギ軟腐病に対する高い防除効果を示す。
- キーワード: ネギ、軟腐病、薬剤防除、プロベナゾール、誘導抵抗性
- 担当: 大分農林水研・農業研究部・病害虫チーム
- 代表連絡先: Tel:0978-37-1893
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
ネギ軟腐病は、夏期のネギ栽培における難防除病害である。本病に有効な防除薬剤として、プロベナゾールを含む粒剤が登録されている。しかし、感染後効果を有しないことや本病の発生時期が約3ヶ月以上と長期にわたることから、防除効果は散布時期に左右されやすい。大分県の現地慣行であるプロベナゾール粒剤の6月下旬1回散布体系では、十分な効果が得られていない。そこで、速効性が高いプロベナゾール粒剤と残効性に優れたベンフラカルブ・プロベナゾール粒剤の散布時期、回数および組みあわせを検討することにより、効果的な本病の防除体系を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 5月下旬~6月上旬にベンフラカルブ・プロベナゾール粒剤を散布し、6月下旬にプロベナゾール粒剤を散布した2回散布体系(以下、体系1とする。表1、図1)は、慣行の6月下旬プロベナゾール粒剤1回散布体系よりもネギ軟腐病に対する防除効果が高い。
- 6月下旬および7月下旬にプロベナゾール粒剤を散布した2回散布体系(以下、体系3とする。表1、図1)は、6月上旬ベンフラカルブ・プロベナゾール粒剤1回散布体系(体系4、表1、図1)や慣行の6月下旬プロベナゾール粒剤1回散布体系よりもネギ軟腐病に対する防除効果が高い。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、夏越し栽培ネギにおける軟腐病の防除対策指導に活用することができる。
- 粒剤の残効期間から、8月下旬以降は薬効不足となる可能性が想定される。そのため、この時期にネギが台風や長雨に遭遇すると、粒剤の散布のみでは軟腐病の多発を回避できない危険性があり、速やかな液剤の追加散布が必要である。
- プロベナゾール粒剤およびベンフラカルブ・プロベナゾール粒剤の農薬登録上の使用時期(収穫前日数)は、それぞれ30日および45日である。
- 体系1および3の薬剤費は、慣行と比較してそれぞれ約10,000円および約5,000円のコスト増に繋がるが、軟腐病の発生による減収額と比較するとわずかな金額であり、損益は黒字となる(表1)。
具体的データ
(山崎 修一)
その他
- 研究課題名: 白ねぎ減農薬・減化学肥料栽培マニュアルの作成
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年度
- 研究担当者: 山崎 修一、雨川 公洋、吉松 英明、満塩 和昭(鹿児島農総セ)、中西 善裕(鹿児島農総セ)
- 発表論文等: 山崎ら(2010)九病虫研会、56:1-8