九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

施設キンカンの特別栽培においてマシン油乳剤を使用した場合の果実品質

要約

施設キンカンの特別栽培ではミカンハダニ防除のために、化学農薬代替資材としてマシン油乳剤が利用される。7月上旬~10月上旬にマシン油乳剤を1回散布する場合は果実品質に対する影響は認められないが、複数回使用すると糖度が低下する傾向がある。

  • キーワード: カンキツ、キンカン、マシン油、特別栽培
  • 担当: 佐賀果樹試・病害虫研
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分: 九州沖縄農業・病害虫
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

佐賀県内では、施設栽培キンカンの特別栽培に着手しており、ミカンハダニ対策として、天然物由来のマシン油乳剤の利用を考えている。しかし、果実品質や薬害等に関する知見がなく、生産者は使用に困っているのが現状である。そこで、生産者が施設キンカンの特別栽培に容易に取り組めるように、マシン油乳剤を時期別に使用した場合や、複数回使用した場合の果実品質や薬害等に対する影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • マシン油乳剤の散布による果実品質への悪影響が懸念されるが、ミカンハダニ対策として7月上旬~10月上旬にマシン油乳剤(97%)200倍液を使用する場合、1回の散布のみでは糖度や酸度に及ぼす影響はみられない(2005~2007年の計5例の結果にもとづく。表1および表2には2006年の結果を示した)。しかし,この期間に2回以上散布すると糖度が低下する傾向がある(表1、表2)。
  • マシン油乳剤(97%)の散布による着色遅延は認められず、着色程度を示すL値、a値、b値についても一定の傾向は認められない(表1、表2)。
  • 中晩柑類ではマンゼブ水和剤(商品名:ジマンダイセン水和剤、ペンコゼブ水和剤)と混用散布すると、果皮に薬害を生じる場合があるが、キンカンでは薬害発生の問題はない(表3)。

成果の活用面・留意点

  • マシン油乳剤散布後は施設内が高温にならないよう、換気に十分注意する。

具体的データ

表1

表2

表3

(井手洋一)

その他

  • 研究課題名: 食の安全・安心志向を考慮した施設キンカン防除技術の確立
  • 予算区分: 国庫補助
  • 研究期間: 2007~2008年度
  • 研究担当者: 井手 洋一、口木 文孝、近藤 知弥