要約
春作および秋作ジャガイモ栽培期間にジャガイモ加害性アブラムシを発生させることなくアブラムシ類土着天敵を増殖、温存できる植物は、春作栽培ではオオムギ、ヨモギ、秋作栽培ではソルゴーである。
- キーワード: ジャガイモ、アブラムシ類、土着天敵、バンカープラント、オオムギ、ヨモギ、ソルゴー
- 担当: 長崎農技セ・病害虫研究室、九州大農学院・生防研、九州沖縄農研
- 代表連絡先: 電話0957-26-3330
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
ジャガイモに発生するアブラムシ類は、多発生すると生育不良、早期黄化落葉による減収を起こす難防除害虫である。また、いずれの種もウイルス病を媒介することから、種イモ生産では問題となる。
環境保全型農業の推進のため、アブラムシ類防除に土着天敵を利用した技術開発が必要である。そこで、バンカープラントとして知られている作物(オオムギ、ソルゴー、ヨモギ等)、景観作物、緑肥作物および諫早周辺で自生している植物の中から、春、秋作ジャガイモの栽培時期に、ジャガイモ加害性アブラムシ類を発生させることなくアブラムシ類の土着天敵を増殖、温存できる植物を選定する。
成果の内容・特徴
- 春作ジャガイモの栽培期間に、ジャガイモ非加害性アブラムシ類およびアブラムシ類に対する土着天敵の発生が多い植物は、オオムギとヨモギである(表1)。
- 秋作ジャガイモの栽培期間に、ジャガイモ非加害性アブラムシ類およびアブラムシ類に対する土着天敵の発生が多い植物は、ソルゴーである(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本試験は諫早湾干拓地において実施した。
- ライムギは非加害性アブラムシ類および土着天敵の発生が2008年春作では極少発生であったが、2007年春作では多く、バンカープラントとして利用できる可能性がある。
- 今後、選抜した植物のバンカープラントとしての有効性や最も効果の高い設置方法を検討する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 諫早湾干拓地における環境保全型大規模生産技術体系の構築
- 予算区分: 国庫(実用技術)
- 研究期間: 2007~2009年度
- 研究担当者: 福吉賢三、小嶺正敬、高木正見(九大院生防)、上野高敏(九大院生防)、川本旭(九大院生防)、柏尾具俊(九州沖縄農研)